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作家・山崎ナオコーラが新作で問う「主夫はヒモ」?

「ヒモに代わる言葉をつくりたい」。ものを束ね結ぶ紐(ひも)ではない。女性の稼ぎで暮らす男性を指す、蔑称の「ヒモ」のことだ。「男性に経済力がないことを揶揄(やゆ)する、差別的な言葉に腹が立っていた」。このほど小説「リボンの男」(河出書房新社)を刊行した作家の山崎ナオコーラは力を込める。

「この作品は経済小説のつもり。ミクロなことをやりつつ、社会派作家になりたい」と語る山崎

年収650万円の書店店長・みどりと、180万円の新古書店アルバイト・常雄の夫婦。息子のタロウを授かり「仕事欲よりも育児欲が勝っている」常雄は、専業主夫になった。野川沿いをタロウと歩き、1時間かけて幼稚園へ行き、1時間かけて家へ戻る。花や虫に見入り、鳥を眺め、石を拾うタロウとともにある生活は、小さな感激に満ちている。一方で常雄はしばしば、自分を時給に換算してしょげる。かつては1時間あれば千円稼げた。今は、川に落とした百円玉を1時間かけて探している。「時給百円の男」だ。いや、見つけられなかったのだから「時給マイナス百円の男」だ。

「かつては私自身が、経済力にすごく重きを置いていた」と山崎。だが、収入の多寡によらず知的に豊かな生活をし、勝ち負けにこだわらない夫の存在で、考えが変わってきたという。「趣味を大切にした生き方をする人も増えている。直接的な収入を得るだけが経済ではない。お金って、もっと複雑なものだと思う」

昨年の文芸界では、女性作家による力作が相次いだ。「女性の生きづらさは他の多くの作家が書いている。私のやるべきことは、微妙に違うところにある。女性だから男性に言いたいことを書くのではなく、ひとりの作家として社会的な仕事をしたい」と話す。「リボンの男」という新しい言葉を生み出すことも、そのひとつなのだろう。

(桂星子)

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