ゴーン元会長会見に「誠意見えず」 日産社員ら失望 - 日本経済新聞
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ゴーン元会長会見に「誠意見えず」 日産社員ら失望

「誠意が見えなかった」「日本で裁判を受けるべきでは」。日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(65)が逃亡先のレバノンで開いた記者会見から一夜明けた9日、日産など国内の関係者らの間に失望が広がった。日本の司法制度を批判し、一方的に自らの無実を訴えた元会長。検察関係者からは「正義を語る資格はない」と厳しい声も上がった。

「徹底的なコスト削減を断行した元会長を尊敬していただけに非常に残念だ」。日産の横浜工場(横浜市)で働く50代の男性社員は元会長の記者会見をテレビで見たといい、「逃亡という違法行為を正当化する発言を繰り返していた。誠意が感じられなかった」と肩を落とした。

元会長は8日の記者会見で、自身にかけられた嫌疑を「日産の経営陣が画策したクーデター」などと表現。男性社員は「無実と思うのなら、日本で正々堂々と刑事裁判を受けるべきではないのか」と憤った。

同工場で働く別の50代男性社員は「騒動が長引くことで、会社のイメージや売り上げに影響しないか」と懸念する。元会長の主張に肯定的な海外メディアの報道もあることから「元会長は今後も自らの主張を続けるだろう。日産に対する評判に影響しかねない」と話し、「業績に響けば、給与の削減やリストラなど、現場にしわ寄せが来ることになる」と不安の表情を浮かべた。

一方、横浜市の日産本社に出勤した社員のほとんどは、記者の問い掛けに無言で通り過ぎた。会見を見たという男性社員は「何もコメントできない」としていた。

検察関係者からも元会長への厳しい声が相次いだ。

「裁判で白黒をつける法の支配から逃げ出した人間に正義を語る資格はない」。記者会見が終了した直後の9日未明、検察幹部の一人はこう述べた。

記者会見でゴーン元会長は起訴内容について「中傷のキャンペーンにすぎず、想像の産物」などと批判した。別の検察幹部は「身ぶりを交えたパフォーマンスに終始し、腹立たしい。起訴された罪に対する具体的な反論が一つも無かったのは『証拠の面では有罪だと分かっている』と自白しているのに等しい」と話していた。

元会長の記者会見を受け、東京地検の斎藤隆博次席検事は9日未明、「(元会長が)我が国の法を無視し、処罰を受けることを嫌い、国外逃亡した」とのコメントを日本語と英語でホームページに掲載した。コメントの掲載は逃亡事件を受けた5日付に続き2回目。検察幹部は「海外に誤解を招かないためにも反論は重要」としており、異例の対応が続いている。

ゴーン元会長の弁護団の弘中惇一郎弁護士は9日午前10時ごろ、東京都内の事務所に入った。弘中弁護士は「いずれお話しする」と述べるにとどまった。

役員報酬を過少記載した金融商品取引法違反罪でゴーン元会長と共に起訴された日産の元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(63)の弁護人は、「コメントすることはない。ケリー元役員の公判に向けた準備は変わりなく進める」と話した。

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