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米イラン、避けられるか全面衝突 今後のシナリオ

【ワシントン=永沢毅、ドバイ=岐部秀光】米国とイランの対立はイラク駐留米軍に対するイランの直接攻撃で一気に高まった。米国の対応次第では本格的な武力衝突に発展しかねない。中東情勢はトランプ米大統領の就任後では最も緊迫した局面を迎えた。全面衝突の回避か、戦争に向け突き進むのか――。当面のシナリオを展望する。

小競り合い、にらみ合いが長期化

米国人の死傷者は確認されていない。トランプ氏は米東部時間8日午前に声明を発表する見通しだが、米国人が被害を受けていない場合、当面は報復措置を控える可能性がある。

イラン国営メディアは「米側に多数の死者が出た」と主張するが、弾道ミサイルは米国人が集まる地域を避けて撃ち込まれたとの観測もある。国内向けには革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の殺害に報復したと強調し、米側へは衝突激化を避けたいとのメッセージを送ったとの見方もできる。

イラン指導部は国民の反米感情や徹底報復を訴える保守強硬派に応える一方、体制を揺るがしかねない米国との全面衝突は避けたい。報復作戦「殉教者ソレイマニ」はぎりぎりの選択だった。

イランのザリフ外相はツイッターで、報復作戦がひとまず終了したと表明した。対立のエスカレーションを避けるための配慮が強くにじむ。

全面衝突は避けられても、小規模な砲撃などが散発する可能性は残る。収束への決め手を欠いたまま、緊張は続く。

米が報復、全面的な軍事衝突へ

「イランがすべきでないことに踏み切れば、厳しい報いを受ける」。報復攻撃を受ける前、トランプ氏は反撃を予告していた。同氏に近い共和党のリンゼー・グラム上院議員は7日夜、トランプ氏と電話で話した後に「これ(イランの報復攻撃)は戦争行為だ。米大統領には対処に必要なあらゆる権限がある」と、保守系FOXニュースに述べた。

米国内では強硬派を中心に報復措置をとるべきだとの意見がある。それは、戦火が中東全域に拡大するリスクをはらむ。

米国が反撃すれば、イラン革命防衛隊はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、イスラエルのハイファといった親米国の主要都市を標的に、再び報復すると主張する。「テロリストの軍隊に基地を提供しているあらゆる米国の同盟国に警告する」との声明も公表した。

仮想敵のイスラエルに対しては、イランが支援するレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラによる攻撃が考えられる。イスラエルの反撃対象はヒズボラに限らない。シリア、イラクの親イラン、シーア派武装組織のほか、イラン本土を攻撃する能力もある。強硬姿勢は、3月の総選挙でイスラエルの右派与党に追い風をもたらす。

緊張緩和を模索、対立が収束に向かう

全面衝突を避けたい米国とイランが一転、対話の席に着く展開も考えられる。11月投票の米大統領選での再選を最優先するトランプ氏は戦争を避けたい。2019年6月にはイランによる米軍の無人機撃墜に報復する軍事行動を直前で撤回した。それは、戦線の拡大が米経済に打撃を与え、再選に悪影響を及ぼすと判断したためだとされる。

19年12月には米国とイランがそれぞれ拘束していた相手の国民の釈放を発表した。外交関係のない両国を取り持つスイスが仲介した。ほかにもいくつかの非公式なチャネルは存在してきたが、いまも機能するか不明だ。

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