米の対中赤字7.8%縮小、11月 制裁関税で輸入減
【ワシントン=鳳山太成】米商務省が7日発表した2019年11月の貿易統計(通関ベース、季節調整済み)によると、対中国のモノの貿易赤字は256億1千万ドル(約2兆8千億円)と前月に比べて7.8%減った。制裁関税により輸入が落ち込んだ。中国とは貿易協議を巡る「第1段階の合意」に署名する見通しだが、大部分の関税は残るため低調な輸入が続きそうだ。
対中輸入は2.2%減の345億ドルだった。トランプ政権は19年9月から衣服など約1200億ドル分の中国製品に15%の関税を上乗せし、同月以降の輸入が細っている。日本やメキシコなどからの輸入は増えた。
対中輸出は89億ドルで18.7%増えた。米中は10月の貿易協議で部分合意を探る方針で一致し、中国は米国から大豆や豚肉を大量に買い付けた。
米国の貿易赤字全体は5.5%減の630億ドルと3カ月連続で前月実績を下回り、16年12月以来、約3年ぶりの低水準となった。19年10~12月期の経済成長率を押し上げる方向に働きそうだ。対日赤字は28.5%増の57億ドルだった。
19年1~11月でみると対中赤字、貿易赤字全体はいずれも前年同期比で減り、19年通年でも縮小する公算が大きい。トランプ大統領は赤字縮小を公約に掲げるが、18年はいずれも過去最大を記録していた。
米政権は第1段階合意で中国がサービスを含む輸入を2年で2千億ドル増やすと主張する。制裁関税は9月発動分を7.5%に下げるが、残りは維持する方針だ。20年は対中輸出が回復する可能性がある。