腸内細菌データベース5000人規模に拡大 国立栄養研
病気予防へ生活習慣との関係研究

生活習慣と腸内細菌の関係を調べるため、国立医薬基盤・健康・栄養研究所は7日までに、健康な人から腸内細菌を集めて作ったデータベースを拡大する方針を決めた。現在の約1200人分から5年間で5千人規模に増やす。実現すれば世界最大級になる。
人の腸の中には多様な細菌がいて、その活動から生み出される物質が健康に大きな影響を及ぼしているとの報告が世界で相次いでいる。同研究所がこれまでに集めたデータからも、いろいろな野菜を食べている人は腸内細菌の種類が多く、便通も良いことが分かっている。おなかの調子が悪い人は腸内細菌の種類が少ないとされており、細菌の多様性を高めることで体調を改善できるかもしれない。
腸内細菌の種類は食生活などの生活習慣や環境によって大きく異なるとされ、宮地元彦・身体活動研究部長は「日本人のデータを多く集めて特徴を明らかにし、病気の予防にも役立てたい」と話している。
収集は20歳以上が対象で、全国からボランティアとして協力してもらう。便の一部を採取し、生息する腸内細菌のDNAなどを分析して種類やどんな物質を出しているかを調べる。また、提供してくれた人の生活習慣との結びつきが重要なので、年齢や住んでいる地域、日々の食生活、睡眠、運動といった生活に関する情報も細かく集める。
健康な人のデータが多く集まれば、病気を持つ人のデータと照らし合わせることで、どの腸内細菌が病気と関わっているかを明らかにできる可能性もあるという。〔共同〕
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