ダウンロード規制で線引き 文化庁、法改正へ方針決定
「新聞、論文の半分程度」は違法

2020/1/7 22:00
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文化庁は7日、インターネット上に著作物を無断公開する海賊版サイト対策として、ダウンロードを違法とする著作権法改正に関する検討会の第3回会合を開き、大枠の方針をまとめた。漫画だけでなく、新聞や雑誌、論文などからのダウンロードも規制。軽微であれば違法としないものの、「論文の半分程度は違法」などと具体的な線引きを定めた。

検討会は違法とする行為の対象について「著作権者の利益を不当に害する場合」に絞り込む案についても議論。プロの漫画家など著作物で利益を得ている人に実害が及ぶケースなどに限った規制が想定されるが、「規制範囲を絞れば対策の実効性が失われる」と反対意見が多く、結論が出ず今後の調整に委ねた。

検討会はこれも含めて近く最終報告をとりまとめ、文化庁は20日召集予定の通常国会への著作権法改正案提出を目指す。

ダウンロード規制は相次ぐ海賊版サイトによる著作権侵害を受け、海賊版と知りながら保存・閲覧する行為の法規制を強化して利用を抑止することを目的としている。現行では音楽と映像のみに適用されているが、検討会は漫画や新聞など幅広い著作物に対象を広げる方針を決めた。二次創作品(パロディー)については除外する。

具体的な基準では、4コマ漫画のうちの1コマのほか、論文や記事、漫画1話の「半分程度」などのダウンロードについては「軽微なもの」と認めず、違法とすることにした。

文化庁の当初案では、スマートフォンの「スクリーンショット」(画面保存)への写り込みを含む全てのダウンロード行為を対象としていた。

これに対し「インターネット利用を萎縮させる」との批判が相次ぎ、2019年11月の初会合でスクリーンショットへの写り込みや、数十ページの漫画の1コマなどは「軽微なもの」として違法としない方向へと修正した。スクリーンショットについては、違法に投稿された画像を丸ごと保存する場合は違法とする。

ただ議論の契機となった「漫画村」(18年4月に閉鎖)など、受信しながら閲覧する「ストリーミング」型は今回の規制からは外れる。

検討会はこのほか、規制対象に海賊版サイト以外からのダウンロードも含む方針を決めた。対策の実効性を高めるため、ツイッターやフェイスブックなどSNS(交流サイト)からのダウンロードについても規制されることになる。

著作権法改正案ではダウンロード規制のほか、海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」の規制も盛り込まれる見通し。

■配信中継企業を提訴も
 インターネット上の海賊版サイトを巡ってはサイト運営者が発信元を隠蔽するケースが多く、捜査当局の摘発や民事訴訟に時間がかかるとされる。早期に被害を抑止するため、サイト運営に使われるサービスを提供するプラットフォーム企業に法的措置を取り、運営を抑止しようとする動きも出ている。
 出版社の竹書房(東京・千代田)と漫画家の男性は7日までに、海賊版サイトに配信中継サービスを提供し、著作権侵害に加担しているとして米IT大手クラウドフレアに損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 クラウドフレアはサイトへの大量のアクセスを効率化するサービスを手がけており、代理人の中島博之弁護士によると、月約300万人が利用する海賊版サイトに使われている。
 クラウドフレアは閉鎖された「漫画村」など多くの海賊版サイトに利用され、法的責任が認められれば、今後の運営を抑止する効果が見込めるという。中島弁護士は「海賊版サイトを支援する企業の責任を明らかにし、サイト運営が困難になる環境をつくりたい」と話す。
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