弾劾裁判、ボルトン氏が証言意向 トランプ氏に打撃も

2020/1/7 16:15 (2020/1/7 21:47更新)
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【ワシントン=中村亮】ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)が6日、上院でのトランプ大統領の弾劾裁判で証言に応じる意向を示した。2019年9月に解任され、トランプ氏の不正行為を把握するとの見方があるボルトン氏の証言が実現すればトランプ氏に打撃となる可能性がある。野党・民主党はボルトン氏の証言を強く求めており、弾劾裁判をめぐる与野党の対立が激しくなった。

ボルトン前米大統領補佐官は2019年9月にトランプ大統領によって解任された=AP

「上院が召喚状を出せば私は証言に応じるつもりだ」。ボルトン氏は6日の声明でこう強調し、議会証言に応じるかを裁判所に委ねるとした立場を一転させた。下院民主党は19年9月に始まった弾劾調査でトランプ氏の肉声を知るボルトン氏に証言を要求したが、裁判所の最終判断に時間がかかるため証言を断念した。ボルトン氏の方針転換はサプライズとなった。

トランプ氏は20年11月の大統領選で優位に立つため民主党の有力候補であるバイデン前副大統領に関する不正調査をウクライナ政府に働きかけた疑惑がある。政権がウクライナ向けの軍事支援を停止して調査実現を迫った疑いが強まっているが、トランプ氏本人の関与は曖昧なままだ。

元ホワイトハウス高官によると、対ロシア強硬派として知られるボルトン氏はロシアの脅威にさらされるウクライナ向け支援の継続を主張。トランプ氏と一対一で面会して支援再開を促した。この際にトランプ氏が大統領再選を果たすため支援停止を決めたなどと説明していれば、個人の政治的利益のために外交政策を悪用したとの批判が強まる。

上院民主党トップのシューマー院内総務は6日、ツイッターでボルトン氏の証言が必要だとの立場を改めて表明。共和党の上院議員に対して「公平な裁判を支持するのか、それとも(疑惑の)隠蔽を手助けするのか」と書き込み圧力をかけた。

共和党内にもボルトン氏の証言を否定しない議員が出てきた。米メディアによると、共和党のミット・ロムニー上院議員は6日、ボルトン氏に関して「(ウクライナ疑惑について)直接情報を知る人物だ」と指摘。「どんな話をするのか聞いてみたい」と語った。

ただこうした意見は共和党内でごく一部にすぎない。20年の上院選で再選が危ぶまれている共和党の穏健派コリー・ガードナーやスーザン・コリンズ両議員らは6日、ボルトン氏の証言が必須だとは明言しなかった。召喚状を出すかを最終判断するとされる共和党上院トップのマコネル院内総務も弾劾裁判を早期に終えるためボルトン氏の召喚に慎重な立場を崩していないとみられる。

1999年のクリントン元大統領をめぐる弾劾裁判で、上院は不倫関係にあったホワイトハウス元実習生らの非公開証言を実施した。証言後に動画記録が公開されて上院議員がクリントン氏の罷免の是非を判断する材料になった。民主党はこうした前例を持ち出して共和党にボルトン氏らの証言の実現を求めている。

証人招致に関する与野党協議は平行線をたどっており、1月上旬にも開かれるとみられた弾劾裁判の開始メドは立っていない。トランプ氏の罷免には上院(定数100)のうち3分の2以上の賛成が必要だ。弾劾裁判に全議員が参加した場合に共和党の4割にあたる20人の造反が最低条件となり、トランプ氏の罷免の可能性は現時点で限りなく低い。

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