高機能な普段着「テックウエア」 世界で人気拡大

CBインサイツ
スタートアップGlobe
テクノロジー
2020/1/10 2:00
保存
共有
印刷
その他
CBINSIGHTS
 防水や軽量など高機能な素材を取り入れ、スマートフォンなどの機器も携帯しやすい普段着「テックウエア」が人気を集めている。スポーツウエアにも採用され始め、米ナイキや独アディダスなども注目しているという。テックウエアを提供しているスタートアップ企業6社をCBインサイツが紹介する。

普段着にスポーツの要素をとり入れた「アスレジャー」の進化版「テックウエア」は、防水性に優れ、軽量で動きやすく、スマホやパソコンなどの機器を入れるポケットなども備えた今の時代に適した普段着だ。

米「パタゴニア」やスウェーデンの「フェールラーベン」、米「ザ・ノース・フェイス」などが手がけるトレッキング愛好者や旅行者用の全天候型の高機能ウエアをルーツとしている。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

その後、独「アクロニウム」や日本の「ホワイトマウンテニアリング」、米「アウトライヤー」といったブランドが「ゴアテックス」や「シェラー」など機能的なハイテク素材を引き続き使用しつつも、スマホ用のポケットなどスタイリングに未来的なひねりを加えた。

日本などでは、テックウエアは控えめな色合いと未来的なシルエットが特徴的なサイバー風の美しさを帯びている。「ヨウジヤマモト」や「ジュンヤワタナベ・コムデギャルソン」など日本のブランドのデザインは世界で高く評価されている。

テックウエアは今や、メジャーな運動競技やスポーツウエア、アクティブウエア市場に進出し始めている。米ナイキや独アディダス、日本のデサント、イタリアの高級スポーツウエア、ストーンアイランドなどの世界的なブランドがテックウエアを相次ぎ発表している。一方、デザイナーと人気ブランドの注目のコラボにより、若者や都市部の消費者などの間で認知度が高まっている。

CBインサイツのデータを使い、テックウエアを提供しているスタートアップ企業6社を選んだ。多くはエシカルな(環境や人権などに配慮した)素材の調達やリサイクル素材の活用など、サステナビリティー(持続可能性)にも力を入れている。

今回登場する企業は創業からの年数の浅さや資金調達ラウンドの規模、投資家の質、メディアに取り上げられた回数といった財務以外の要素など、様々な基準によって選んだ。公開ベースでの資金調達額が多い順に取り上げる。全ての企業がテックウエアに特化しているわけではないが、有意義なテックウエアを手がけている。

1.フランク・アンド・オーク(Frank And Oak)

▽本社:カナダ・モントリオール
▽直近の資金調達ラウンド:シリーズC
▽累積調達額(公表ベース、以下同):3600万ドル
▽主な投資家:米ベルテルスマン・デジタル・メディア・インベストメンツ(BDMI)、米グッドウォーター・キャピタル、リアル・ベンチャーズ(カナダ)、リョー・カナダ、バージョンワン・ベンチャーズ(カナダ)

 フランク・アンド・オークは商品を自社サイトで直販する「D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)」のメンズウエアブランドだ。サステナビリティーに力を入れており、リサイクルされたポリエステルやウール、麻、デニムを衣類の素材に使っているほか、染色工程での水の使用を抑え、配送用の箱や買い物袋を100%リサイクルしている。
 テックウエアシリーズ「ステート・コンセプツ」は2015年に発売された。同社はその後、このシリーズを秋冬物の主力のアウターなどに移行させている。
 フランク・アンド・オークの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のイーサン・ソング氏は「現代のモダンな男性が仕事でも遊びでも着られる機能的なシリーズを作ろうとした。『ステート・コンセプツ』は汎用性を念頭に置き、どんな想定外の事態にも対応できるように開発した」と話している。


2.アトムス(ATOMS)

▽本社:米ニューヨーク州ニューヨーク
▽直近の資金調達ラウンド:シリーズA
▽累積調達額:870万ドル
▽主な投資家:米シュラグ・キャピタル、アレクシス・オハニアン氏(米国人起業家)、米クライナー・パーキンス(KPCB)、米デイワン・ベンチャーズ

 ニューヨークのブルックリンに拠点を置くシューズメーカー、アトムスのシューズ「モデル000」には銅糸を織り込んだ中敷き、特許を取得したほどけない靴ひも、水や泥をはじき、シミを防ぐために熱可塑性ポリウレタン(TPU)とポリウレタンの糸をブレンドした特許取得済みの繊維が使われている。
 なるべく正確に足に合うよう、靴のサイズを4分の1インチ(6.35ミリメートル)刻みでそろえ、左右で異なるサイズを購入することもできる。さらに「環境や人に有害な素材や化学物質を使用しておらず」糸の染色工程で水を一切使っていないとうたっている。


3.ピストル・レーク(Pistol Lake)

▽本社:米カリフォルニア州ロサンゼルス
▽直近の資金調達ラウンド:シード
▽累積調達額:100万ドル
▽主な投資家:米テックスターズ、米スローベンチャーズ、米リキッド2ベンチャーズ

19年夏に米インキュベーター、テックスタートの支援プログラムに参加したピストル・レークの大きな武器は、特許を取得した繊維「ユーデイ(Eudae)」だ。この繊維はリサイクルされた水のボトルとユーカリを主な原料とし、スポーツ用の合成繊維のような通気性や湿度調整機能、防臭機能を備える。デザインでは普段着としての着心地の良さと汎用性を重視している。
 ピストル・レークはプロのアスリートが設立した環境慈善団体「プレーヤーズ・フォー・ザ・プラネット」と提携している。


4.アナトミー(Anatomie)

▽本社:米フロリダ州マイアミ
▽直近の資金調達ラウンド:プレシード
▽累積調達額:100万ドル
▽主な投資家:不明

 アナトミーは旅行向けにデザインした女性用の高級テックウエアやアスレジャーを手がける。しわにならない素材、旅行の必需品やスマホなどを入れる大型の特別なポケット、長時間のフライトに適した着心地の良さと通気性、軽くかさばらない形状などが特長だ。


5.マチーナ(Machina)

▽本社:米カリフォルニア州サンフランシスコ
▽直近の資金調達ラウンド:シード
▽累積調達額:50万ドル
▽主な投資家:ワイラ(スペイン)、米ハイウェイワン

 マチーナの「アウト・オブ・ボディー・エクスペリエンス(OBE)」テクノロジーは、ウエアラブルなセンサーとコントローラーを使って洋服を没入型の拡張現実(AR)のコントローラーにしている。同社の服を着て特定のジェスチャーをすれば、ソーシャルメディアのメッセージを受信し、手を使わずに電話を取り、写真を撮影できるほか、緊急時には友人や家族、地元の警察に連絡するためにパニック(SOS)ボタンを作動させることもできる。
 マチーナはサステナビリティーにも取り組んでいる。廃品素材から作った衣類のコレクションを毎年発表しているのに加え、リサイクルされたポリエステルを使用したり、ARセンサー「エムボット(M.BOT)」のリサイクルを実施したりしている。同社のソックス「S.カフェ」はリサイクルしたコーヒーの粉とポリマーでつくった糸を使っている。


6.コート・エ・シエル(Cote&Ciel)

▽本社:フランス・パリ
▽直近の資金調達ラウンド:不明
▽累計調達額:不明
▽主な投資家:ステファン・ウェンバーカー氏(コートエシルCEO)

 コート・エ・シエルはバッグ専用ブランドだ。斬新なデザインとパソコンなどの機器を守るためにチャックを防水素材の「フード」で覆う機能性を兼ね備えている。
16年には高級ブランドやテックウエアを展開する有名デザイナー「ヨウジヤマモト」、19年にはテックウエアのトップブランド「アンダーカバー」とコラボした。

電子版の記事が今なら2カ月無料

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]