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主将就任、大一番で攻守全開 バレー・石井優希(下)

今季初めて久光製薬のキャプテンに就いた石井優希は未経験の困難に直面していた。「葛藤しながらこれでいいのかなとか。もやもやしている」。Vリーグ開幕前に吐露していた不安が悪い形で的中したからだ。

リーグ2連覇中の常勝軍団は初戦から2連勝したものの、その後は勝ち星を伸ばせず、3連敗も経験。一時は6チームあるカンファレンスで4位までが進めるプレーオフ争いの瀬戸際に立たされていた。

石井は「東京五輪までにもう一段成長したい」と今季から久光製薬の主将を引き受けた=(C)V.LEAGUE

石井ら日本代表メンバーを3人抱え、昨秋のワールドカップからわずか3週間後にリーグ開幕を迎えたこと。セッターやミドルブロッカーの主力がチームを去ったこと。理由は一つではなさそうだが、もともと言葉で周囲を鼓舞するタイプではない28歳は、責任をしょい込んだ。

母親がプレーしていた影響で小学2年からバレーボールを始め、強豪の就実高(岡山県)では全国大会で活躍。当時の監督、藤原恒子は「体が大きいのに動きがドタドタしていなくて軽かった。アタックに入るまでのスピードがあるから、トスが低くても短くても打ち切れた」と振り返る。

多くのボールを託されるエースの自覚が強かったからだろう。「試合でも石井はポーカーフェースで、プレーで引っ張るタイプだった」とも藤原は述懐する。

久光製薬に入団後も自分の役割に徹して成長できたと感じていた分、石井は「自分のプレーが悪くなるのがすごく怖かった」と主将への打診を断ってきた。このタイミングで重責を引き受けたのは「役職がなければ殻を破れない。東京五輪までにもう一段成長したい」と覚悟を決めたからだ。

チームの統率役に今も自信が持てたわけではないが、大一番ではきっちり結果を残した。昨年12月の日立戦。プレーオフを争うライバルから全体の約半分に当たる47本ものサーブを集められながら、丁寧にレシーブを上げ続けた。攻撃でも磨いてきたバックアタックを含めて両チーム最多の23得点。フルセットにもつれた接戦を取り切って安堵の表情を見せた翌週、プレーオフ進出も決まった。

12日から始まる短期決戦を勝ち進めば、リーグ3連覇の可能性は十分ある。5日のリーグ最終戦後に「まだ正解が分からないが、プレーで引っ張るのが私らしさ。キャプテンをやって良かったと言えるシーズンにしたい」と力を込めた石井。やり遂げた後の新たな自分を知るためにも、東京五輪まで続く長い代表活動へと弾みをつけるためにも、このまま終わるつもりはない。=敬称略

(鱸正人)

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