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五輪や5Gに期待も世界景気に懸念 伊藤忠ら年頭所感

令和最初の年明けであり、東京五輪・パラリンピックを開催する2020年。仕事始めの6日までに、多くの企業トップが年頭所感を表明した。五輪や次世代通信規格「5G」の商用サービス開始など国内経済の活性化に期待を寄せる声が多かった半面、世界の政治や経済の先行きに対する警戒感を強めてもいた。

香港の争乱に加え、米軍によるイラン革命防衛隊司令官の殺害による中東情勢の悪化など世界は予断を許さない状況にある。長期化する米中貿易戦争に今年は英国の欧州連合離脱(ブレグジット)や米大統領選挙を控え、経済の不透明感も拭えない。

伊藤忠商事の鈴木善久社長兼最高執行責任者(COO)はイランに言及し「衝撃的な事件で2020年は波乱の幕開けとなっている」と切り出した。全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)も「イランで色々なことが起きており、引き続き緊張感をもって銀行経営にあたる必要がある」と言及。米イラン関係について村田製作所の村田恒夫会長兼社長は「対立が拡大しなければいいと思っている」と述べた。

米中貿易戦争の警戒感も根強い。鉄鋼業界では「米中対立の悪影響が広がり、厳しい需要環境が続く」(日本製鉄の橋本英二社長)、「米中貿易戦争に伴う市況悪化で危機的な状況にある」(JFEホールディングスの柿木厚司社長)といった厳しい声が聞かれた。

一方、国内に目を向けると7月から開催される東京五輪・パラリンピックへの期待感が高まっている。

セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は「消費環境にもよい影響をもたらす」と述べた。訪日客に自社製品や日本を売り込む機会と捉える発言も多い。TOTOの喜多村円社長は「競技での感動とともに快適なトイレ文化を体験してほしい」と話す。三越伊勢丹HDの杉江俊彦社長は「日本が世界から大きな注目を集めることができる。最高の顧客体験を実現したい」と消費拡大に意欲を示した。

技術では次世代通信規格「5G」を起爆剤にデジタル変革を目指す発言が多く聞かれた。今年春、携帯大手が「5G」の商用サービスを始める。

NTTドコモの吉沢和弘社長は「5Gのサービス開始はドコモにとって大きな節目」と強調する。

ソフトバンクの宮内謙社長兼最高経営責任者(CEO)は「デジタル化が急速に進み、産業界全体が大きく変わっていく。各産業で新たなビジネスモデルを創出する」と意気込む。

高速ネットワークの普及でAI(人工知能)やあらゆるモノがネットにつながるIoT市場はますます拡大する。富士通の時田隆仁社長は「IT(情報技術)企業からデジタル変革(DX)企業に変わる」と目標を示し、パナソニックの津賀一宏社長は「大量生産・大量販売という単純なビジネスモデルから脱却できていない」とし、自らの変革の意欲を改めて述べた。

19年、不祥事に揺れた企業のトップからは再起を誓う声が聞かれた。

役員らの金品受領問題で揺れた関西電力では、既に退任を表明している岩根茂樹社長が「お客様や社会の皆様から再び信頼を賜るとともに、新たな関電の創生の年となるように着実に前進していこう」と社員に呼びかけた。

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