郵政、多難な再出発 増田社長が就任
かんぽ生命保険の不適切販売問題を受け、増田寛也元総務相が6日に日本郵政の社長に就いた。保険料の二重徴収など顧客に不利益を与えた可能性のある契約の調査は道半ばだ。前総務次官による行政処分情報の漏洩も全容が解明されておらず、増田氏が率いる郵政は多難な再出発となる。

増田氏は同日午前に郵政グループの役員ら約200人を集めてあいさつし、かんぽ問題について「郵政グループ全社にとって創立以来最大の危機だ」と述べた。
「社員一同が危機感を共有し、緊張感を持ってやるべきことをする必要がある」と呼びかけた。郵政グループへの風当たりは厳しいが「愚直に誠実に謙虚に感謝の気持ちを忘れずに進んでいかなくてはならない」と強調した。
不適切販売が経営陣に伝わらずに問題が拡大したことを念頭に「悪いニュースこそすぐに伝えてほしい」とも訴えた。「社内の常識が世間の非常識になっていないかもう一度検証する姿勢が大事だ」と指摘した。
かんぽの契約で法令や社内規定違反の疑いのある1万2836件のうち、違反の有無を判定できたのは2割にすぎない。郵政グループが調べた乗り換え契約以外にも、金融庁は顧客の意向に沿わずに保険契約の消滅と締結をくり返したり高額な保険料を徴収したりする事例があったと指摘している。
前総務次官は5日に辞任した郵政の鈴木康雄上級副社長への情報漏洩が同省の内部監察で発覚し、昨年12月に辞職した。野党は20日に開幕する見通しの通常国会で情報漏洩問題を追及する構えをみせている。