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樹齢550年 復活待つカウンター(古今東西万博考)

1970年・大阪

豊かな自然で知られるカナダ西部のブリティッシュコロンビア州。1970年大阪万博で、巨大なもみの原木を使った同州のパビリオンは来場者の目を引いた。

そんなもみの木に一目ぼれしたのが、当時30代半ばの洋服職人だった川畑年見さん。得意先に会うため訪れた開幕前の会場で、たまたま目にした巨木の存在感に圧倒された。閉幕後、木材業者がもみの木を買い取ったと知り、つてをたどって樹齢550年の木材を購入。厚さ15センチ、幅70センチ、長さ9メートルのカウンターに加工し、大阪・十三で喫茶店「もみの木」を開業した。

自ら豆をブレンドしたこだわりのコーヒー、静かに流れるバロック音楽、そして70年万博の写真やグッズが飾られたレトロな雰囲気――。次第に常連客が増え、近年はネットでも「本物の喫茶店」と評判に。土日は他県からわざわざ愛好家が訪れるほどだった。

2018年11月に25年国際博覧会(大阪・関西万博)の開催が決定。川畑さんは「70年万博が再び注目されるはず」と喜んだが、既にがんが体をむしばんでおり、入退院を繰り返すようになっていた。そんな中でも時折、常連向けに店を開けていたが、19年4月に83歳で死去。もみの木は閉店を余儀なくされた。

主人を失った店内は今、ひっそりと静まりかえるが、長男の慶和さん(55)は「50年近くかけて父が築いた空間を守りたい」と維持管理に努めている。特に父が愛したもみの木のカウンターは、ワックスで丁寧に磨き上げる。いずれは喫茶店やイベントスペースなどとして再スタートし、人が集まる場にしたいと構想をあたためている。(覧具雄人)

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