19年のマカオカジノ収入、3年ぶり減少 香港混乱で
【香港=木原雄士】マカオ政府がまとめた2019年のカジノ収入は2925億パタカ(約3兆9千億円)と、18年に比べて3.4%減少した。前年を下回るのは3年ぶり。中国経済の減速を受けて中国の富裕層の利用が落ち込んだほか、香港で長期化するデモの影響も受け客足が鈍った。カジノ運営大手は成長機会を求め、今後は日本の統合型リゾート(IR)参入を狙うなど新戦略で落ち込みをカバーする考えだ。

カジノ収入は19年1月に約2年半ぶりに前年同月比でマイナスに転じ、直近の12月は13.7%の大幅減だった。米モルガン・スタンレーによると、19年通年では一般客からの収入は11%増と堅調だったが、全体の約4割を占めるVIPと呼ばれる富裕層からの収入が2割減った。カジノ収入は、マカオ訪問客の7割を占める中国本土客の動向に大きく左右される。中国から香港と組み合わせてマカオを訪れる人も多く、香港の大規模デモも逆風になった。
カジノ各社は今後、カジノだけでなく、リゾート施設や劇場などをさらに充実させ、家族連れ客を取り込む戦略だ。澳門博彩控股(SJMホールディングス)や銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント)は21年にも新施設を開業する予定。日本で計画が進むIRにも関心は高く、ギャラクシーやメルコリゾーツ&エンターテインメントが既に日本に拠点を設け、参入に向けた準備を加速している。
モルガン・スタンレーはマカオのVIP収入が徐々に回復に向かうとして20年のカジノ収入は2%増と予想する。19年12月に営業を始めた次世代型路面電車などの交通インフラも一般客の収入増に寄与するとみている。