日本郵政、増田氏が社長就任 「創立以来の危機」訴え
日本郵政は6日、増田寛也元総務相を社長に迎え、新体制を発足させた。増田氏は同日午前に郵政グループの役員ら約200人を集め、かんぽ生命保険の不適切販売問題について「グループ全社にとって創立以来最大の危機だ」と強調した。そのうえで「危機感を共有して事態の解決を図ろう」と呼びかけた。不適切販売の全容解明や顧客に対する補償を急ぐ。
かんぽの商品で保険料の二重徴収など法令違反や社内規定違反の疑いのある契約が1万2836件見つかった。うち8割は違反の有無を最終的に判定できていない。増田氏は「速やかに調査し、顧客の不利益を一刻も早く解消することで信頼を一歩一歩回復しなければならない」と強調した。
同日付で、かんぽ生命社長には同社の千田哲也副社長、日本郵便社長には日本郵政の衣川和秀専務執行役が就いた。両氏は旧郵政省出身だ。
郵政グループは2019年12月27日、金融庁と総務省から保険の新規販売を3カ月間停止することや経営責任の明確化を命じられた。日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長の3氏が5日付で引責辞任した。
増田氏は不適切販売が経営陣に伝わらずに問題が拡大したことを念頭に「悪いニュースこそすぐに伝えてほしい」と要請した。さらに「新しい郵政グループとして生まれ変わらなければならない」と述べ、「社内の常識が世間の非常識になっていないかもう一度検証する姿勢が大事だ」と訴えた。
増田氏らは9日に記者会見し、かんぽ問題への対応などを説明する。