介護職員にソフトテニス選手 京都の秀孝会
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関西タイムライン
2020/1/6 2:00
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特別養護老人ホームで働いた後、午後4時以降はソフトテニスの練習に励む(京都府八幡市)

特別養護老人ホームで働いた後、午後4時以降はソフトテニスの練習に励む(京都府八幡市)

介護職員はテニスプレーヤー――。養護老人施設などを運営する社会福祉法人の秀孝会(京都府八幡市)は、2019年3月に実業団の女子ソフトテニス部を設立した。部員は介護の現場で働きながら、夕方以降はソフトテニスの練習を重ね、週末は大会に出場する。仕事がきついイメージが先行し人手不足にあえぐ介護職のイメージを向上させる狙いだ。

「人手不足でこのままではじり貧。よそと違うことをしないといい人材は確保できない」。秀孝会の藤田良一理事長(63)はそう強調する。高校のソフトテニスで活躍した新人らを採用し、現在の部員は6人。全員特別養護老人ホームで働きながら日本一を目指す。

部員は午前7時半~9時に出勤。入浴や食事などの介助の仕事をこなし、午後3時には仕事を終え、ワゴン車でテニスコートに向かう。練習時間は午後4~7時の3時間。土日に試合がある場合は出張扱いとし、平日に代休をとらせる。10月に岩手県で行われた全日本選手権大会では、初出場ながら3位に入賞した。

女子ソフトテニスは実業団チームが少ない。1990年代に60チームほどあったが、現在18チームに減少。全国レベルの選手でも働く先が見つからないことがあるという。大阪の高校を卒業し秀孝会に就職した上野小町さん(19)は「既に人数いっぱいだからと入団を断られたチームもあった。ここで全日本での団体1位を目指したい」と語る。選手は20代にピークを迎え、引退後の進路に困ることも多い。「選手には全員、介護職員向けの初歩的な資格を取得させる。選手にとっては退部後の選択肢が増えるはず」(藤田理事長)

大きな試合がある日は職場のみんなでバスを借りて応援するなど、夢を持って明るく働く選手の姿に現場の雰囲気が変わったという。ソフトテニス部の予算は年間600万円。金額面では「とてもペイできない」(藤田理事長)が、長期的なイメージ戦略の効果は大きいとみる。介護の第一線で働きながら活躍する選手が今後増えていけば、介護職に対するイメージが変わり、人材の呼び込みにつながると期待する。

人手不足を補うため人材派遣会社から従業員の紹介を受けると、手数料が1人当たり年間70万~100万円に達するという。その分を将来への投資に、との思いがある。

(山本紗世)

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