ゴーン元会長引き渡し攻防 レバノン側、逃亡関与否定 - 日本経済新聞
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ゴーン元会長引き渡し攻防 レバノン側、逃亡関与否定

日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(65)が保釈条件に違反して海外逃亡した事件に絡み、日本経済新聞のインタビューに応じたレバノンのセルハン暫定法相は日本の当局の捜査に「要請があれば協力する」としながらも、元会長を引き渡すのは難しいとの考えをにじませた。一方、日本政府は国際機関などへの働きかけを強めている。国際的な協調を背景に、引き続きレバノン政府との交渉を推し進める構えだ。

セルハン氏はレバノンの検察庁が早急に元会長を聴取するとし、逃亡事件の捜査について「日本から要請があれば協力する用意がある」と表明した。ただ現時点で日本側からの問い合わせなどはないとした。日本の捜査当局との情報共有には、日本側から「全ての捜査資料の提供が必要だ」とも説明した。

レバノン政府筋によると、元会長は同国にフランスのパスポートで入国した。政府関係者がベイルートの空港まで元会長を出迎えたとの情報もある。セルハン氏は元会長が「合法的に入国した」として滞在に法的な問題はないと強調。政府が逃亡に関与したとの疑惑には「私が知る限り政府内に協力したり、事前に把握していたりした人物はいない」と釈明した。

レバノン政府には元会長の聴取で、国際手配に対して義務を果たしたとアピールする狙いもあるとみられる。ただ、聴取をしても元会長の入国が合法だとの判断は揺るがず、同国内に滞在する限り元会長が日本に引き渡される可能性は低い。

一方、日本政府は今後も、ゴーン元会長の引き渡しを求めていく姿勢だ。元会長の保釈が2019年12月31日に取り消されたことを受け、法務省はすぐに警察庁を通じて国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を要請した。レバノン政府には保釈取り消しから2日後の20年1月2日に元会長の身柄拘束を求める「国際逮捕手配書」がICPOから届いた。

ICPOには19年3月末時点でレバノンを含めて194カ国・地域が加盟。今回の逮捕手配書は「赤手配」とも呼ばれ、9種類あるICPOの手配のうち最も緊急性が高い。各国に容疑者の所在確認や拘束を求める内容で、元会長がレバノンから第三国へ渡航した場合、手配に基づいて拘束される可能性がある。

日本政府は外交ルートを通じても関係国に協力を要請してきた。元会長の逃亡で経由地となったトルコでは2日、元会長の逃亡を手助けした疑いがあるとして、当局がプライベートジェット運航会社のパイロットら関係者7人を拘束した。

ICPOの国際手配やトルコ当局の動きについて、日本政府関係者は「日本側からの働きかけにすぐに応じてくれた結果だ」と述べている。

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