臨床宗教師、東北大で養成進む 被災者らに心のケア

東北
2020/1/3 19:30
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東日本大震災をきっかけに、災害に遭った人だけでなく、病気や老いに苦しんだり嘆いたりする人を精神的に支える宗教者「臨床宗教師」が活動するようになった。全国で最初に養成を始めた東北大の講座には、仏教僧らに交じり看護師や社会福祉士の姿も目立つ。さまざまな立場から被災者や患者、高齢者に寄り添う方法を探っている。

東北大の臨床宗教師を養成する合宿で、講師(左端)とロールプレーをする受講生たち(2019年12月上旬、仙台市)=共同

臨床宗教師は布教や伝道を目的とせず、被災地や病院、福祉施設などで心のケアに当たる。日本臨床宗教師会が、専門の課程を終えた宗教者を対象に資格を認定する。仏教、キリスト教、神道などの宗派は問わない。

東北大がプログラムの一環で2019年12月上旬に仙台市で行った合宿では、15人の受講者がロールプレーや筆記試験、面接に取り組んだ。

「生きていてもしょうがない」と絶望する末期がんの患者役に接するロールプレーでは、臨床宗教師役の受講生に講師の大学教授らが次々と疑問点を指摘した。「なぜほほ笑んだ」「視線を合わせなかったのはどうして」――。受講生は「追い詰められた気持ちをごまかしたかった」「沈黙から逃げたかった」と、無意識の行動を一つ一つ分析した。

スタッフの高橋原教授(宗教心理学)は「対象者と向き合う中で自分の心がどう動くかを意識し、対人関係のくせや傾向を知る訓練だ」と解説する。講座は12年に始まり、17年から宗教者以外も受講できる2年間のプログラムになった。これまでに約200人が修了した。

合宿に参加した1人で、岐阜県大垣市の認知症高齢者向けグループホームに勤める看護師の後藤圭子さん(45)は、入所者の意思を確かめられないまま家族が死期を決める現場を何度も見てきた。「医療や看護の知識では限界を感じ、入所者に寄り添うためのヒントを得たかった」と振り返る。

臨床宗教師は16年の熊本地震の被災地での活動や、京都府の自殺防止策への協力など、幅広い取り組みで注目を集めている。高橋教授は「困っている人に奉仕するのが宗教者の使命。寺離れ、葬式離れが進むといわれる今、特に若い宗教者に目指してほしい」と話している。

〔共同〕

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