2月に対中関税下げ 米政権、覇権争い終結遠く

トランプ政権
2020/1/1 0:31
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権は中国との貿易交渉で「第1段階の合意」に達し、2月中にも対中関税「第4弾」の関税率を引き下げる。2018年7月の制裁発動以降、関税率を引き下げるのは初めてで、両国の貿易戦争は解決へ半歩前進する。ただ、2500億ドル(約27兆円)分の中国製品に課す「関税第1~3弾」の撤廃は見通せず、両国の対立の収束は遠い。

米政権は19年9月、制裁第4弾としてスマートウオッチなど1200億ドル分の中国製品に15%の追加関税を発動した。「第1段階の合意」の見返りとして、20年2月中旬をメドに第4弾の税率を半分の7.5%に引き下げる。部分的とはいえ、トランプ政権が中国への制裁関税を緩和するのは初めてだ。

米政権は18年7月に対中関税の第1弾を発動し、制裁対象を段階的に広げてきた。19年5月には「90%まで合意文書が完成した」(ムニューシン米財務長官)にもかかわらず交渉が決裂し、米国が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に制裁を発動するなど対立は深刻さを増していた。両国の「休戦」が鮮明になれば、世界のサプライチェーン(供給網)の混乱などに歯止めがかかる材料になる。

両国の「第1段階の合意」には(1)中国による知的財産権の保護(2)中国が米国からの輸入を2年で2000億ドル積み増す(3)金融サービス市場の開放(4)人民元安誘導の制限――などを盛り込んだ。「対中貿易赤字を削減する」と公約してきたトランプ米大統領には、有権者への大きなアピール材料になる。香港の大規模デモなどで揺れる習近平(シー・ジンピン)体制にとっても、米国との対立は回避する必要があった。

もっとも、両国の合意は妥協の産物で、本格的な貿易戦争の終結にはほど遠い。米国の「関税第4弾」の対象は衣服などの消費財が多く、個人消費を直撃してトランプ氏の再選シナリオを大きく狂わせかねなかった。中国も「国家資本主義」を支える産業補助金については、世界貿易機関(WTO)ルール違反を指摘されながらも見直しに応じない。米中対立の根底にある覇権争いは融和に向かう兆しがない。

そのため、トランプ米政権は2500億ドル分の中国製品に課す「関税第1~3弾」の引き下げは見送った。1~3弾は中国製の産業機械や半導体などが対象で、習体制が産業育成策「中国製造2025」の中で重点投資してきた分野と重なる。米国が関税第1~3弾を堅持するのは、実力行使で中国の先端産業を弱体化する狙いがある。

中国は米国からの輸入を実質的に倍増する内容で合意したとされる。ハードルは極めて高く、米側は「数値目標に未達なら再び制裁関税を発動する」(ホワイトハウス関係者)と主張する。20年11月の大統領選での再選を目指すトランプ大統領にとって「中国への強気な姿勢が有権者へのアピールに欠かせない」(トランプ陣営幹部)。第1段階の合意が本格的な「終戦」に向かうかどうかは、今なお見通しにくい。

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