「雇用制度全般の見直しを」中西経団連会長
経済3団体トップの年頭所感

経済
2020/1/1 0:00
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経団連の中西宏明会長は日本経済新聞などとの年頭のインタビューで、日本企業の国際競争力を高める職場づくりのため「雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが大事だ」と語った。デジタル革命に対応する具体的な行動力が問われるとの考えも示した。詳しい発言は以下の通り。

インタビューに答える経団連の中西宏明会長=共同

インタビューに答える経団連の中西宏明会長=共同

――2020年も世界経済には下振れ懸念がくすぶりそうです。

「海外経済の不確実性は高まっているが、日本経済は低成長ながら安定成長してきた。この安定感は変わらないだろう」

「政治家は選挙を気にして、経済対策を手厚くやれと言う。ただ、今の日本経済が抱える課題は政府がすぐに解決できるわけではなく、経済界が自ら経済構造をつくっていくことが大事だ。デジタル技術をどう活用し日本経済の競争力を高めるか、具体的な行動が20年の大きなテーマだ」

――雇用制度に関する問題も提起しています。

「新卒一括採用、終身雇用、年功序列型賃金が特徴の日本型雇用は効果を発揮した時期もあったが、矛盾も抱え始めた。今のままでは日本の経済や社会システムがうまく回転しない。雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが重要だ」

「賃上げの勢いを保つことは大前提だ。ただ製品やサービスの付加価値向上に必要なスキルや意欲のある人が活躍できる環境づくりも大事だ。そのためには賃金体系や人事制度についてもしっかり対応すべきだ」

――エネルギー改革や気候変動問題への対応は。

「石炭火力や原子力など個別の課題だけではない。全体設計として(原子力再稼働の遅れで実質的に火力依存から抜け出せない)エネルギーの基本政策が本当に実現可能かどうか強烈な危機感がある。停滞している電力業界の投資の喚起が重要だ。気候変動や環境問題への取り組みは企業経営の中核にしていくという議論を展開していくべきだ」

――日韓問題の最良の解決策はなんですか。

「韓国側が、前向きな話をしようと言ってくることだ。民間同士の意思疎通は大事だが、今の焦点は韓国側が国として明確な態度表明をするのかどうかだ」

■デジタル革命、日本にも好機

桜田謙悟・経済同友会代表幹事 世界が分断と対立に揺らぐなか、多様性と調和をうたう五輪・パラリンピックの日本開催の意義は大きい。その成功を新たな出発点とし、日本が自己変革に挑戦し、持続可能な将来へ再始動する一年としたい。

デジタル革命の面で、リアルのデータを活用した新事業創造は、組織力やハードウエアに強みを持つ日本企業にとって好機だ。政府はデジタル市場競争本部を中心に、データの流通・活用やデジタル課税、競争環境の整備などルールづくりで、世界を主導すべきだ。

海外に先駆けて国内の規制やルールを整備する必要がある。デジタル化の恩恵を体感できるオンライン診療・服薬指導や自動運転の分野で規制改革を急ぐべきだ。

財政の持続可能性の確立は将来世代への現役世代の責任だ。社会保障費の適正化を含む歳出抑制と同時に抜本的な負担構造改革が不可欠だ。気候変動への対応では、日本が持つ石炭火力発電の最新鋭技術の展開が実質的な排出削減につながることを粘り強く訴えていくべきだ。

中小の生産性、大企業が支援を

三村明夫・日本商工会議所会頭 日本経済は深刻化する人手不足や廃業の増加、地方の疲弊が成長の足かせになっている。生産性の向上や取引価格の適正化を通じた付加価値の向上なくして、中小企業は時代を生き抜くことはできない。

最重要の取り組みは3点ある。中小企業へのIT(情報技術)導入やデジタル技術の実装を急ぐ。事業承継の加速や起業・創業の活性化でビジネス全体の新陳代謝などを促す。そして、中小企業の生産性向上を大企業が積極的に支援することでサプライチェーン全体をより強固にする。

地域の活性化では、広域連携を軸とした観光振興と農商工連携の推進で、インバウンドを含めた域外需要を取り込んでいく必要がある。社会資本整備や国土強靱(きょうじん)化を巡っては、引き続き政府に積極的な働きかけを行っていく。

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