南ア計画停電 10~12月期GDPを0・3%下押しも

2019/12/31 0:30
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【イスタンブール=木寺もも子】代表的な新興国の一つである南アフリカで電力の供給不安が再燃してきた。経営危機に陥っている国営電力会社エスコムが12月、9日間の計画停電に追い込まれた。主要産業の鉱山が操業を停止し、10~12月期の国内総生産(GDP)を最大で0.3%押し下げると専門家は試算する。中長期で成長の重荷になる可能性がある。

南アフリカ東部のヒルクレストで、停電のなか接客する店員(12月10日)=ロイター

全国規模の計画停電は5日に始まった。地域や時間帯を区切り、順番に電力供給を停止した。エスコムは南アの電力供給の9割以上を担うが、能力の低下が続く。12月は南半球の盛夏で電力消費が大きく増えるが、供給能力を上回ると送電システムが故障するため、計画停電に踏み切った。

エスコムの発電能力は最大4400万キロワットのはずだが、実際にはそれほど稼働していないもようだ。その理由を同社側は「大雨による浸水で装置が壊れた」などと説明する。一方、政府側は改革に反対する勢力の妨害があったと指摘する。ラマポーザ大統領の政権はエスコムを分割して効率を高め、発電事業への民間参入も促す改革に取り組んでいるからだ。

放漫経営も発電能力が低下する一因だ。エスコムは4500億ランド(約3兆円)の債務を抱え、設備の更新や維持に必要な投資ができていない。

経済調査会社エコノメトリクスのエコノミスト、アザル・ジャミーン氏は、12月の計画停電で10~12月期のGDPが0.2~0.3%低下する可能性があると試算。南アの鉱山で金鉱石を採掘するハーモニー・ゴールド、ダイヤモンドを採鉱する英ペトラ・ダイヤモンズなどが電力不足で生産を一時停止した。プラチナ鉱石を掘り出すインパラ・プラチナムの損害は1億2千万ランドにのぼる。

民生にも打撃だ。最大都市ヨハネスブルクの精肉業経営、ジュリアス・クゴシさんは「停電で冷蔵庫が使えなくなり、商品の肉が大量に腐った」と嘆く。停電は1日7時間に及んだという。

南アの電力不安は国内外の企業の投資意欲を損ね、それが成長率の鈍化につながっていると多くの専門家が指摘する。実質成長率は7~9月期が前四半期比年率でマイナス0.6%だった。4~6月期の同3.2%から大きく落ち込んだ。国際通貨基金(IMF)は19年通年の実質成長率を0.6%と予想している。

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