スポーツ > Tokyo2020 > GO TOKYO > 記事

GO TOKYO

フォローする

侍ジャパン稲葉監督 「結」テーマ、五輪「金」に挑む

Tokyo2020
2020/1/2 3:00
共有
印刷
その他

2020年東京五輪で正式競技に復帰した野球。日本代表「侍ジャパン」は地元開催の大舞台で、悲願の金メダル獲得を目指す。チームを率いる稲葉篤紀監督に、代表選考にあたる思いや勝負の一年にかける意気込みを聞いた。

新年に向けた決意を漢字一文字で「結」と表現した稲葉監督

新年に向けた決意を漢字一文字で「結」と表現した稲葉監督

――新年に向けた決意を漢字一文字で「結」と表現した。

「これまで結束力ということをずっと言い続けてやってきた。選手、コーチ、スタッフ、ファン、そして国民の皆さんと結束を持って今年に臨みたい。そして、目標である五輪でしっかり結果を出す。この言葉には、全うする、締めくくるという意味もある。(五輪を)いい形で締めくくりたい」

北京五輪の借りを返す機会もらった

――自身が主軸打者で出場した08年北京五輪で最も覚えている光景は。

「李承燁(元ロッテ、巨人など)が岩瀬仁紀(元中日)から本塁打を打ったシーン。あの(準決勝の)韓国戦に負けて金メダルが消えた。あの光景を忘れることはない」

「私の頭上を本塁打の打球が通っていったシーンと、韓国ベンチがものすごく喜んでいたシーン、(日本の)最後の打球を右翼手が捕って拝んでいるシーン。五輪で自分がどういうプレーをしたかは全然覚えていなくて、あの(3つの)シーンしか思い出せない」

「監督に就任して、北京五輪の借りを五輪で返すチャンスを頂いた。その思いはこれまでも忘れたことがない。世界一、金メダルをしっかり取りにいく。挑戦する気持ちを忘れないでやっていく」

――五輪前哨戦だった昨年11月の国際大会「プレミア12」では、宿敵の韓国を破って初優勝。五輪に向けて弾みがついた。

「韓国にしても、より我々に対して『勝たなくてはいけない』というものを持ってくる。より強い気持ちを持って臨まないといけない」

選手をリスペクト、気持ちを一番に

――プレミア12では大胆な采配も光った。1次ラウンド初戦のベネズエラ戦。2点を追う八回の好機で坂本勇人(巨人)の代打に山田哲人(ヤクルト)を出し、逆転につなげたのは、短期決戦のポイントだったと思う。

「それまでの打席を見ていて、復調のきっかけが見つからなかった。勇人には(日本代表の)コーチ時代から関わってきて、ずっと見てきた。何年もつながりを持って見続けてきた中で、あの日の空振りの仕方や立ち振る舞いなどを見て交代を決めた」

「翌日の試合前、スタメン発表の際にみんなの前で『勇人は代えられたけど、ふて腐れることもなくベンチの真ん前で応援した。ジャパンではこういう姿が大事で、結束力を生む』と彼の行動を称賛した」

――選手の気持ちに配慮することは必要か。

「やるのは選手で、監督が一番偉いんじゃない。一番大事にしているのは選手をリスペクトすること。選手の気持ちを一番に考えたい」

――短期決戦に臨む心構えとは。

「勝つために、それこそ勝利至上主義になる。鬼にならないといけない。皆さんが心配しているのは『稲葉、鬼になれるのか』という部分だと思う。そのために、選手との関係性をこれまで築いてきた」

短期決戦では「勝つために鬼にならないといけない」と稲葉監督=共同

短期決戦では「勝つために鬼にならないといけない」と稲葉監督=共同

――金メダルを狙うチームの投打の柱は誰になるか。

「プレミア12では気持ちの強いメンバーが集まり、世界一を経験して、結束力という意味では一つになれた。彼らのジャパンに対する熱い思いは受け止めたい。プレミアのメンバーを土台にしながら、20年シーズンの成績も含めて代表を選考していきたい。すごく悩むと思う」

――DeNAの筒香嘉智など、大リーグ移籍が決まって本戦出場が難しくなった代表経験者もいる。

「当然痛い部分はあるが、彼らの夢は応援したい。ポジションが空くことは、ほかの選手にとってはチャンス。五輪までに、けがなど不測の事態が発生することもある。最終的に集まったメンバーが最高のメンバーだと思って戦う」

――五輪は敗者復活の変則トーナメントで行われ、金メダルまで無敗ならば5試合、最大で8試合を戦う。メンバー24人のうち、投手は何人ぐらい入れるのか。

「コーチからは12人欲しいと言われている。そうすると捕手を2人しか選べず、野手が10人。交代できる選手がいなくなるので悩ましい」

「夏の暑さと緊張感のある中で、投手の体力の消耗はシーズン中とは異なるだろう。精神的にもかなり疲れ、早めに代えないといけない状況が出るかもしれない。今回の五輪は負けると敗者復活に回って連戦となる。そこも想定しておかねばならず、投手を12人にするか11人にするかは悩みどころ。いろんな議論をしていく」

自分の目で確かめ、感じる力も大事

――プレミア12に出場しなかった選手の中で、監督が期待する選手は。

「千賀滉大(ソフトバンク)、菅野智之(巨人)あたりは日本を代表する投手。今回も、けががなければ当然選んでいたと思う。今季の姿をしっかり見ていきたい」

「千賀、菅野には経験がある。その経験を基に、練習の姿を示したり、若い投手と話をしたりできる。誰もが憧れる投手なので、後輩にいろいろなものを伝えていく役割も期待している」

――頂点を目指すにあたり、対戦相手のデータ分析も重要だ。データと、その対極にある経験や勘とのバランスをどうとっていくか。

「今春の五輪予選を視察して自分の目で相手を確かめるとともに、対戦相手のデータや映像なども取り寄せて分析する。ただ、監督経験は浅くても『今日はこの打順だ』とか『今日は誰々が何番だ』とか、そういうものがピンとくることがある。データばかりでなく、感じる力や直感力、そういうものは大事にしていきたい」

昨年のプレミア12で優勝し、金メダルを胸に場内を一周する稲葉監督(手前)と日本代表の選手たち

昨年のプレミア12で優勝し、金メダルを胸に場内を一周する稲葉監督(手前)と日本代表の選手たち

――ラグビーのワールドカップ(W杯)で8強入りした日本代表がパレードをしたのと比べると、世界一になっても野球は寂しいとも話していた。

「パレードをしてほしかったわけではなく、野球の危機を感じてほしいということを伝えたかった」

――野球の競技人口が減少するなか、東京五輪での金メダル獲得が野球熱の再興にもつながるか。

「もちろん。スポーツの祭典である五輪で金メダルを取ると、扱われ方も全然違うし、皆さんが競技を見る回数も当然増える。野球に興味を持つ子供が少しでも増えてくれればいい。やはり金メダルが大事になる」

「あとは親世代。親世代に野球の魅力、野球の素晴らしさを感じてもらい、子供が野球をやりたいと言ったときに、協力することにもつながっていけば」

――地元開催の五輪で野球が復活。日本野球界にとって、またとないチャンスとなる。

「次のパリ五輪では実施されないし、その次のロサンゼルスで復活するかどうかもわからない。日本で五輪の野球ができる、最初で最後のチャンスかもしれない。野球界にとって、非常に大きな位置づけになる」

(聞き手は常広文太)

GO TOKYOをMyニュースでまとめ読み
フォローする

共有
印刷
その他

プロ野球のコラム

ドラフト会議

電子版トップスポーツトップ

GO TOKYO 一覧

フォローする
大阪国際女子マラソンで1位でゴールした松田

 “制限時間”というもう一つの敵にも勝ち、五輪代表入りへ前進した松田は満面の笑みで「嘘みたいです」。4位に敗れた昨年9月のMGCから一転、持ち前の走りと明るさが戻った。
【関連記事】松田V、五輪代表に前 …続き (1/26)

インタビューに答えるJOCの山下会長

 24日で東京五輪開幕まで半年。各競技で徐々に代表が決定し、選手にとっても本番への準備が本格化してくる。昨年6月、日本オリンピック委員会(JOC)会長に就任した山下泰裕氏はどのように自国開催の五輪を成 …続き (1/24)

 24日で東京五輪の開幕まで半年となった。各競技で代表に内定する選手が少しずつ出る中、多くの競技で春までに選考レースが佳境を迎える。自国開催の晴れ舞台を目指し、有力選手たちがラストスパートをかける。
…続き (1/24)

ハイライト・スポーツ

[PR]