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「戦国」箱根駅伝 連覇狙う東海大、青学大など包囲網

2020/1/1 3:00
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令和最初となる第96回東京箱根間往復大学駅伝が2、3日に行われる。2連覇を目指す東海大が優勝候補の筆頭だが、地力のある青学大や11年連続3位以内を確保している東洋大、1年生に有力ランナーを擁する駒大、出雲駅伝を初めて制した国学院大が包囲網を敷く。5強を中心とした戦国駅伝ともいわれ、往路から白熱した展開になりそうだ。

東海大、Vメンバー7人がエントリー

東海大は前回の初優勝メンバーが7人エントリーされる充実の布陣。チームを支えるのは「黄金世代」と呼ばれた4年生だ。全国高校駅伝でエース区間の1区を走った経験を持つ選手たちが最終学年を迎え、集大成のレースにもなる。

秋の駅伝シーズンは足並みがそろわなかったが、最後にようやく調子を上げてきた。両角速監督は「4年生が大きな役割を果たした。貴重な青春の一ページになることを祈っている」と語る。

春に右脚を痛めた影響で出雲駅伝、全日本大学駅伝を回避した主将の館沢亨次は区間エントリーで補欠に回ったが、主要区間を任される可能性は高い。前回7区で一気に差を詰めて優勝への道筋をつけた阪口竜平も戦略上の理由で控えにいる。当日の選手変更でどこに配置されるか注目だ。3度目の1区となる鬼塚翔太から「うまく流れに乗りたい」と両角監督。前回区間新記録で最優秀選手に選ばれた小松陽平(いずれも4年)を2年連続で8区に配置できたあたりに選手層の厚さと順調な調整がうかがえる。

東海大は館沢主将(右)ら4年生の黄金世代にとって最後の箱根駅伝になる

東海大は館沢主将(右)ら4年生の黄金世代にとって最後の箱根駅伝になる

今季は3年生の台頭も大きく、4年生の不在をカバーしてきた。西田壮志と塩沢稀夕は出雲、全日本を経験。名取燎太は全日本でアンカーを任され、16年ぶりの優勝へと導いた。箱根では塩沢が有力選手の集まる花の2区にエントリー。初出場で期待に応えられるかがカギを握る。

西田は前回に続き箱根の山上り5区を担当。特殊区間で経験者がいることはアドバンテージだ。4区までトップにいなくても、たすきをもらう小田原中継所で「2分くらい(の差)で西田に渡すことができれば計算が立つ」と両角監督は展開を読む。

3年連続で山下りの6区だった中島怜利(4年)をメンバー登録できなかったが、ハーフマラソンで1時間2分台の自己ベストを持つ選手が8人もいるチームに穴はない。「戦力は十分にあると思うので、冷静に状況を分析して自信を持って臨みたい」と両角監督。区間配置は復路での逆転まで想定されていて、接戦でも勝ちきれる地力は十分だ。

青学大、王座奪還へ「やっぱり大作戦」

5年ぶりに挑戦者となった青学大は出雲で5位に沈みながら全日本で2位に入り底力を見せた。チーム力の低下が懸念されたが、1万メートルのエントリー上位10人の平均タイムは出場チーム中トップ。主将の鈴木塁人(4年)は「うまくいかない時期があったからこそチームもたくさん成長できた」と語る。

青学大は山上りの5区に飯田をエントリー=共同

青学大は山上りの5区に飯田をエントリー=共同

原晋監督は今大会を「戦国であると同時に戦術駅伝だ」と指摘する。悩んだのが2区。指導した中でも「歴代1番」と評価する岸本大紀(1年)を抜てきしたが、12月中旬に左足を痛めて走れない日があったという。大事には至らず練習は再開できているが、主要区間で失速は禁物。補欠には昨年度の学生三大駅伝全てで区間賞の吉田圭太(3年)らが控えており、ポイントになりそうだ。

「山」も浮沈を左右する。2年連続で5区を走った竹石尚人(4年)を16人に登録できず、区間エントリーでは前回8区を走った飯田貴之(2年)を配置。6区を託した谷野航平(4年)は最初で最後の山下りとなる。厳しい戦いにしないためには、平地区間でカバーしなければいけない。

3区の鈴木はハーフマラソンで1時間1分台の自己ベストを持ちながら、今季は悔しい走りが続いた。原監督が名付けた作戦名は「やっぱり大作戦」。そこには4年生への奮起の意味も込められている。「最後は4年生の意地、主将の意地を見せていい形で後輩たちにバトンをつなぎたい」と鈴木。2年ぶりの王座奪還へ強い決意で臨む。

往路重視の東洋大、エース相沢で勝負

総合力で勝負する東海大や青学大に対し、往路重視で挑もうとしているチームもある。2年連続で往路優勝している東洋大は選手層ではかなわないが、1年生も多く粒ぞろい。主将の相沢晃(4年)は出雲、全日本と区間賞を獲得し、学生長距離界のエースとの呼び声が高い。最後の箱根では満を持して花の2区で勝負する。「留学生にも勝って区間賞、記憶にも記録にも残るような走りを目指してほしい」と酒井俊幸監督。

6年ぶりの頂点を狙う東洋大の選手たち(前列右から4人目が主将の相沢)=共同

6年ぶりの頂点を狙う東洋大の選手たち(前列右から4人目が主将の相沢)=共同

6区は今西駿介(4年)が3年連続で務める。「相沢に頼るのではなく、相沢を生かす」戦略はチームの共通認識。3年連続1区を託した西山和弥(3年)と相沢で主導権を握れば、他の選手を勇気づけることにもなる。

近年逆転されている復路を考えれば、できるだけ往路で貯金を稼ぎたいところ。前回は8区で東海大に首位を奪われた。「もう一歩届かず悔しい思いが続いている。全員駅伝で戦っていく」と酒井監督。11年連続3位以内という安定感を誇るが、あくまでも6年ぶりの総合優勝を見据えている。

全日本大学駅伝7区で区間賞の駒大・田沢は補欠に回ったが、往路での起用が濃厚=共同

全日本大学駅伝7区で区間賞の駒大・田沢は補欠に回ったが、往路での起用が濃厚=共同

国学院大・浦野は前回区間新記録をマークした5区を担当=共同

国学院大・浦野は前回区間新記録をマークした5区を担当=共同


箱根を熟知している駒大の大八木弘明監督も「往路優勝を狙っていかないと厳しい戦いになる」と覚悟する。堅実な走りが特徴の山下一貴(4年)は3年連続で2区。東洋大・相沢との争いで「離されないようにすること」(大八木監督)が大切になる。ハーフマラソンで1時間1分51秒のタイムを持つ1区で主将の中村大聖(4年)とともにスタートダッシュを決めたい。

一方で1年生の田沢廉は補欠に回した。全日本7区で区間賞を獲得するなどエース級の働きで、大八木監督も「流れを変えられる選手になってほしい」とほれ込む逸材。往路での起用が濃厚だ。

前回往路で3位になった選手が残る国学院大も侮れない存在。4年生を軸に出雲で初優勝を飾るなど実力と自信を身につけてきた。浦野雄平(4年)は前回区間新記録をマークした5区を担当。前田康弘監督は「前回よりはるかに山の準備はできている。4区が終わって2分以内か、先頭が見える位置なら最高」と豪語する。2区の土方英和、3区青木祐人の4年生も順当に起用。「往路優勝、総合3位以内」を目標に掲げているが、「昨年よりいい」(前田監督)という復路で我慢強く走ることができれば、レースの行方はわからなくなってくる。

(渡辺岳史)

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