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埼玉2019回顧(下)台風・豚コレラ猛威 「翔んで」「渋沢」明るい話題も

2019年は全国的に自然災害が頻発し、埼玉県も大きな被害に見舞われた。10月の台風19号では4人が死亡し、浸水などの建物被害は7000棟を超えた。9月には県内の養豚場で豚コレラ(CSF)が発生。感染は拡大し、多くの農家が豚の殺処分を余儀なくされた。一方、地域振興やスポーツなどの分野では明るいニュースが相次いだ。

10月12日に関東を直撃し、記録的な大雨が降った台風19号。県内でも荒川水系の河川で次々と堤防が決壊し、東松山市や川越市などの広い地域が浸水した。川越市の特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」は入所者ら約120人が一時孤立。無事に避難したが、施設は復旧の見通しが立たないほど損傷した。

東松山市でも大型商業施設「ピオニウォーク東松山」の1階店舗に土砂が流れ込み、全館が臨時休業した。12月27日にようやく再開にこぎつけたが、市内の企業活動や住民生活にはなお台風の爪痕が残る。県によると、農林業の被害は全県で計80億円を超え、商工業でも多額の損失が生じているという。被害の全容はまだ明らかになっていない。

県内の養豚場で豚コレラが発生したことも衝撃を与えた。9月に秩父市で確認されて以降、小鹿野町や本庄市などに広がり、計7500頭以上の豚が殺処分された。県は感染拡大防止や養豚家の支援、風評被害の払拭などに力を入れるが「一度被害を受けたら立ち直れない」(養豚関係者)との不安は広がっている。

自然の猛威が県民生活や経済に暗い影を落とした1年だったが、前向きな話題も目立った。2月公開の映画「翔んで埼玉」は、東京都民に虐げられる埼玉県民を描く奇抜なストーリーが全国的に大ヒット。3月には飯能市に童話「ムーミン」の世界観を再現した「ムーミンバレーパーク」が開業し、新たな観光拠点として注目を集めた。

「翔んで」の自虐的な内容とは対照的に、埼玉のイメージが向上しつつあることも判明した。リクルート住まいカンパニー(東京・港)が2月に発表した駅名別の「住みたい街」ランキングで大宮が4位、浦和が8位にランクイン。住宅ローン仲介大手のアルヒによる首都圏1都3県の「本当に住みやすい街」ランキングでは川口がトップを獲得した。

歴史的な地域資源にも光が当たった。4月には深谷市出身で「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一が新1万円札の図柄に決定。11月には国の文化審議会が行田市の埼玉(さきたま)古墳群を特別史跡に指定するよう答申した。両市が位置する県北部は人口減少が進んでおり、深谷市の小島進市長は「これを機に訪問者が増えればありがたい」と期待を寄せる。

日本中が盛り上がったラグビーワールドカップ(W杯)は、県内でも熊谷市を舞台に日本代表の壮行試合を含む4試合が行われた。計9万4000人の観客を受け入れた運営能力や大会ボランティアの献身ぶりは「海外からも称賛された」(大野元裕知事)といい、20年東京五輪・パラリンピックへの弾みとなりそうだ。

(山口啓一が担当しました)

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