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日本の木が香る競技場 オリパラへ技術の粋集める

2020/1/2 2:00
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2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場は、国産の木材をふんだんに取り入れた設計が目立つ。各国の選手たちが躍動し、世界が注目する舞台で、日本の木が持つぬくもりや建築技術をアピールする。産地もその時を心待ちにしている。

  

有明体操競技場、戸建て100戸分の木材

有明体操競技場は東京2020大会の新設会場では最も多く木材を使用している

有明体操競技場は東京2020大会の新設会場では最も多く木材を使用している

五輪とパラリンピックのために新設される競技会場のうち、最も木材が活用されているのが有明体操競技場(東京・江東)だ。約2300立方メートルと一般的な戸建て住宅(床面積120平方メートル)の100戸近くに相当する国産木材を使った。

全長117メートルの木造アーチ屋根

全長117メートルの木造アーチ屋根

外装・コンコースにもぬくもり

外装・コンコースにもぬくもり

観客席には三重県産のスギ

観客席には三重県産のスギ

外観が目を引く。「湾岸エリアに浮かぶ木の器」がコンセプト。大会のキーワード「持続可能性」に沿った自然との共生をイメージさせようと、外壁を木目美しいスギで覆った。

五輪で体操や新体操など、パラリンピックでボッチャの熱戦が繰り広げられる場内には木の香りが漂う。屋根は強度の高いカラマツで組んだ。約90メートルの梁(はり)を30本施工。作業しやすいよう地上で屋根を分割して組み立て、所定の高さへ持ち上げる「リフトアップ工法」で全長117メートルの大屋根を完成させた。

設計した日建設計の担当者は「環境に配慮した大会を実現するため木材を多用した。日本の建築技術を世界にアピールできる」と話す。木質の屋根としては世界で最大規模という。観客席のイスも木製とするこだわりようだ。

建築家の隈研吾氏らのグループによって「杜(もり)のスタジアム」をコンセプトに設計された国立競技場(東京・新宿)。「今までのスタジアムとは違った、日本らしい温かい感じを目指した」(隈氏)

スギを縦格子にしたひさしが建物周囲をぐるり。鉄骨と組み合わせたカラマツとスギを屋根材として使い、国産木材の使用量は約2000立方メートルに及ぶ。

選手村の敷地内で建設が進む「ビレッジプラザ」(東京・中央)も国産のヒノキなどを多用する。雑貨店やカフェなどを配置し、選手や関係者らが集ってリラックスする施設だ。柱や梁だけでなく内外装にも木材を使い、くつろげる雰囲気を醸し出す。

ビレッジプラザは大会後に解体される。木材は各自治体へ返却し、公共施設などで再活用してレガシーとして残してもらう計画だ。

  

スギなど、47都道府県から結集

国立競技場などの建設のため、日本全国から木材が集められた。競技会場は海外からも多くの選手や観客が訪れるひのき舞台。供給した産地は「日本の木の美しさを知ってもらえるチャンス」と喜ぶ。

国立競技場のひさしには、46都道府県のスギと沖縄県のリュウキュウマツを使用している

国立競技場のひさしには、46都道府県のスギと沖縄県のリュウキュウマツを使用している

国立競技場のひさしには46都道府県のスギと沖縄県のリュウキュウマツを使用。いずれも産地の方角に向けて取り付けた。北海道産なら、競技場北側へ配置されている。

山梨県は、所有する甲州市の山林で伐採したカラマツも屋根材として納めた。山林を管理し、出荷を担った造林業者の古屋佳浩さんは「世界の舞台で使われることは誇らしい」と話す。約60年かけて育て上げたカラマツを「現地で見てみたい」と考えている。

有明体操競技場の大屋根の梁には強度があり、木目も美しいとされる北海道と長野県のカラマツが主に使われた。外装に静岡、宮崎、秋田の3県のスギ、ベンチは三重県のスギを採用した。

外装で最も多く使われたのが、浜松市のスギ「天竜材」だ。節が少なく見栄えするのが特徴で、市林業振興課の担当者は「外装は多くの人の目に触れる。『天竜材』のブランドを知ってもらえる機会になる」と意気込む。

大会に合わせて新設された施設では、計画的な伐採・植林や生態系への配慮などを評価する「森林認証」を取得した産地の木材を使用している。大会組織委員会の担当者は「見た目だけでなく、環境にも気を配った木材であることもPRしたい」と話す。

  

高度成長期に植林、いま伐採期

国内の木材生産量は増加傾向が続いている。2018年に前年比1.8%増の3020万1千立方メートルになり、9年連続で増加した。08年の生産量の約1.6倍だ。高度経済成長期に集中して植林された人工林が伐採の時期を迎えており、生産量が伸びている。

国内で使用される木材のうち国産材が占める割合(自給率)も18年に36.6%となり、11年から8年連続で上昇した。自給率は安価な輸入材に押されるなどして02年には過去最低の18.8%まで下がっていた。

政府は自給率を高めるため10年に「公共建築物等木材利用促進法」を施行。学校や病院、商業施設など非住宅の建築物について木造化を推進した。政府は自給率を25年に50%にすることを目標に掲げている。

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