出版不況続く 15年連続縮小 取次各社、収益改善に知恵

2019/12/26 22:57
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出版不況が一段と進んでいる。出版業界の調査研究機関である出版科学研究所(東京・新宿)によると、2019年の紙の出版物の推定販売金額は約1兆2400億円台となり、15年連続で前年実績を下回る見通しだ。紙の出版物の市場縮小が続く中、トーハンなど取次各社は異業種との連携や収益力の改善に向けた取り組みを加速させている。

出版科学研究所によると、19年1~11月の紙の出版物の推定販売金額は前年同期比3.9%減となり、通年でも前年を下回ることが確実だ。

出版不況が続く中で取次会社や出版社は対応策に知恵を絞る。トーハンは書籍の要約版を作成・配信する情報工場(東京・港)と提携する。

情報工場の書籍紹介サービス「SERENDIP(セレンディップ)」をトーハンの取引先の書店で紹介する。店頭に置いた販促物にセレンディップが要約した書籍を読めるQRコードを記載することなどを想定する。要約を試読することができることで、実際の店頭の販売増につながるとみる。セレンディップの閲覧情報のデータを分析し、需要動向に合わせた効率的な書籍の配本につなげることも期待する。

出版業界では、出版社が「再販売価格維持制度(再販制度)」に基づき、紙の書籍の小売価格を決めることができる。その一方、売れ残った本は書店から出版社に返品できる「委託販売」が主流だ。ただ、出版販売が低迷する中、4割にのぼる返品率が書店などの利益を圧迫している。

最大手の日販グループホールディングスは返品率の改善に向けた新しい取引制度を拡大する。6月からポプラ社と連携し、事前に返品率の目標を設定し、目標を達成した場合に報奨金で還元する新しい取引を始めた。現在はポプラ社との取り組みだが、返品率改善の効果があったとして他の出版社にも導入を呼びかける。

取次のほかにも蔦屋書店などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループのTSUTAYAは今夏から書籍について書店が出版社から書籍を購入し販売する「買い切り」を導入した。通常より良い条件で書籍を仕入れる代わりに、定められた枠を超えた返品が発生した場合は、ペナルティーを支払う仕組みで、順次対象書籍を増やしていく方針だ。

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