文楽・宝塚・音楽…2019年の関西文化を振り返る
文化の風

関西タイムライン
2019/12/27 2:01
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2019年の関西文化界を振り返る。演劇・演芸は伝統芸能で新たな人間国宝が2人誕生し、宝塚歌劇団のスターの退団や新劇場のオープンなどが続いた。音楽は楽団の枠を超えた企画が話題を呼び、美術は4回目を迎えた瀬戸内国際芸術祭の存在が際立っていた。

■演劇 2人が人間国宝

「忠臣蔵」で文楽劇場はにぎわった(仮名手本忠臣蔵「祇園一力茶屋の段」)

「忠臣蔵」で文楽劇場はにぎわった(仮名手本忠臣蔵「祇園一力茶屋の段」)

開場35周年を迎えた国立文楽劇場が「仮名手本忠臣蔵」を4月、夏休み、11月の3公演で全段上演。長時間の観劇が敬遠される昨今の風潮を受けて通常1日で行う「通し上演」を分割する試みだったが、人気演目とあって客足は好調。各公演とも有料入場者数は前年を2割強上回った。

現役唯一の太夫最高位「切場語り」として文楽を背負う豊竹咲太夫が人間国宝に。歌舞伎界からも女形として長く上方歌舞伎を支える片岡秀太郎が認定された。一方、新作狂言にも積極的に取り組むなど幅広く活躍した狂言師、茂山千作が亡くなった。

宝塚歌劇団は花組の明日海りお、星組の紅ゆずるの両トップが退団。抜群の人気を誇った明日海は宝塚100周年の2014年からトップスターを務め、近年の宝塚をけん引する存在だった。

近年、劇場閉鎖が相次いだ京都で演劇人らが開いた劇場、シアターE9京都(京都市)がオープン。京都在住の劇作家、松原俊太郎が同じく京都を拠点に活躍する劇団地点に書き下ろした「山山」で岸田国士戯曲賞を受賞。一昨年の上田誠(ヨーロッパ企画)以来、2年ぶりの京都の演劇人による快挙となった。

   

■音楽 楽団またぐ企画

大阪に拠点を置く4つのプロオーケストラが「とことんリヒャルト・シュトラウス」と銘打ち、秋の定期演奏会で没後70周年を迎えた作曲家の作品を紹介。病気から復帰した尾高忠明が「四つの最後の歌」などを指揮した大阪フィルハーモニー交響楽団や、オーギュスタン・デュメイがバイオリン・ソナタを奏でた関西フィルハーモニー管弦楽団など各楽団が個性がよく表れていた。

大阪フィルは6月、同じ作曲家の歌劇「サロメ」を演奏会形式で上演。名匠のシャルル・デュトワが艶やかな音色を引き出したのが忘れがたい。オペラではびわ湖ホール「ジークフリート」、兵庫県立芸術文化センター「オン・ザ・タウン」、関西歌劇団「オリンピーアデ」など高水準の舞台が続いた。

大阪府で建て替えが進んでいた公共ホールのオープンが相次いだ。9月に東大阪市文化創造館、10月には堺市に堺市民芸術文化ホール(フェニーチェ堺)が開業。双方とも多目的ホールだが、音楽専用ホールと遜色ない音響を備える。東大阪市は関西フィルと連携協定を結んでおり、こけら落とし公演にも同楽団が登場。フェニーチェ堺では、地元に拠点を置く大阪交響楽団がコンサートの定期開催を検討している。

  

■美術 瀬戸芸にぎわう

瀬戸芸で古民家を利用した粟島の作品(香川県三豊市)

瀬戸芸で古民家を利用した粟島の作品(香川県三豊市)

4回目を迎えた瀬戸内国際芸術祭の存在感はやはり突出していた。二百数十点の作品が香川・岡山両県の島々や港で展示。春夏秋3会期の来場者数は前回より13%増の117万8484人と過去最多だった。関西からも多数の作家が参加し、多くの人々が訪れた。今や世界最大規模のアートイベントとして国内外で認知されている。

そんな瀬戸芸だが、規模も質も飽和状態に近づいたとの感もまた強かった。対照的だったのが神戸市の街中を舞台にしたイベント「TRANS(トランス)――」。出展作家をドイツのグレゴール・シュナイダーと同市出身のやなぎみわの2人にあえて絞ることで「巡礼」というテーマを強く前面に打ち出した。多数の作家が参加する総花的なアートイベントばかりが増える中、小粒ながらも独自の存在感が光った。

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