「山陰柴犬」守り伝える 鳥取、絶滅の危機乗り越え

2019/12/26 9:47
保存
共有
印刷
その他

山陰地方固有の地犬「山陰柴犬(しばいぬ)」の繁殖・保存活動に鳥取県湯梨浜町の育成会が取り組んでいる。戦争や伝染病の流行などで一時は約20匹にまで落ち込んだが、粘り強く育成を進め、現在は約450匹に。一方、高齢化が進む育成会のメンバーらは「困難を乗り越えながら大切につないできた命。若い世代にも保存に関心を持つ人が増えてくれたら」と願う。

山陰地方固有の地犬「山陰柴犬」の育成会のメンバーら。右から2人目は尾崎哲さん(鳥取県湯梨浜町)=共同

「山陰柴犬育成会」によると、山陰柴犬は朝鮮半島にルーツを持ち、猟犬の血を引いて頭が小さく体が引き締まっているのが特徴。山陰を中心に北は青森から南は熊本まで25都府県の約400世帯で飼われている。

繁殖活動は昭和初期、洋犬の人気に押されて地域固有の犬種が減る状況に危機感を覚えた鳥取県の元地主、尾崎益三氏(故人)が始めた。兵庫県の但馬地方から島根県の石見地方の主に猟師の元を渡り歩き、猟犬を譲り受けては育成に励んだ。

しかし戦争の色が濃くなるにつれ、軍用犬や兵士の防寒着の毛皮用として提供を迫られ飼育は困難を極める。約50匹いた犬は終戦時には20匹ほどに減った。

それでも戦後の1947年、山陰柴犬の系譜である鳥取県固有の因幡犬と島根県固有の石州犬の交配に成功。現在につながる礎犬が誕生した。その後も51年ごろと61年ごろ、伝染病が流行し絶滅の危機に見舞われたが尾崎家や飼い主らが地道に保存活動を続けた。

2000年代前半ごろまで山陰柴犬の大半は鳥取県内で飼育されていたが、周知を図ろうと04年に有志で育成会を結成した。ホームページを立ち上げ、年に数回、飼い主と愛好家らを集めて観賞会を主催。次第に全国から飼いたいという声が増え、繁殖活動が間に合わないほどになった。

現在、育成会は尾崎氏の孫の哲さん(61)が代表を務め、約30人で保存に当たる。交配の知識を持ち、絶えてしまわないように活動を続けるが、大半が60代で、後継者問題が悩ましいところだ。〔共同〕

 ▼山陰柴犬 鳥取県でアナグマ猟に活躍した因幡犬と島根県固有の石州犬の系譜を受け継ぐ。獲物が潜む狭い巣穴に入り込むのに適した小さな頭が特徴。筋肉質で運動量が豊富、一般的に警戒心が強く従順で、主人によく懐き、いたずらにほえない。少産傾向があり、一度に生まれるのは平均2、3匹で、個体数が増えにくい要因とされる。
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]