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ポーランドのノーベル賞作家の訳者、東大で読解法講義

ポーランド人作家のオルガ・トカルチュクは昨年、ノーベル文学賞を受賞し注目を浴びた。最新刊「プラヴィエクとそのほかの時代」(松籟社)をはじめ、全3編を邦訳した東洋大学の小椋彩助教は東京大学で講演し、作品の特徴と読み方を案内した。

オルガ・トカルチュクの邦訳書

初の邦訳書「昼の家、夜の家」とブッカー国際賞を受賞した「逃亡派」(いずれも白水社)は100以上の断章がつなげた物語だ。小椋氏は「1つの土地をモチーフとする前者に対して後者は旅と移動をめぐる思索の書」と説明。その上で「国境のあいまいさ」や「人体や天体の探求」を、作品を読み解くキーワードとして提示した。

ポーランドはロシア(ソ連)とドイツのはざまに位置し、1989年に起こった東欧革命まで幾度となく蜂起と失敗が繰り返されてきた。トカルチュクは「青春時代を社会主義体制下で過ごした1960年代生まれの新世代作家の一人であり、それ以前の愛国主義的な祖国を語る文学ではなく、国境にとどまらない広い世界で共有される文学」(小椋氏)と言える。

ノーベル賞授賞理由の1つとしては、小椋氏は環境問題について熱心に発言している点をあげ、映画化された「死者の骨に鋤を通せ」(未邦訳)を環境へ取り組む姿勢が顕著として紹介した。続いて登壇したポーランド人の社会学者からはトレードマークのドレッドヘアは「アナーキーズムやエコ・テロリズムを示す髪形だ」という指摘もあった。

トカルチュクはフェミニスト、菜食主義者の立場をとっているが、小椋氏は「他者を攻撃して政治に参加していくわけではない」という。「フレンドリーで翻訳者との距離も近い。世界中の翻訳者が彼女の受賞を喜んだ」と評価した。

(村上由樹)

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