静岡のサクラエビ秋漁終了、自主規制に一定の成果

2019/12/24 19:08
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駿河湾特産のサクラエビの秋漁が23日、2カ月間の漁期を終えた。「捕りながら増やす」との方針を掲げてきた漁業者は新たな自主規制を導入。来年、親になるエビを守ろうと腐心し、一定の成果を上げた。その一方で相場は高止まりが続く。長引く不漁で「サクラエビ経済圏」を支える地元業者は疲弊し、駿河湾産という唯一無二のブランドも揺らいでいる。

駿河湾産のサクラエビは品質の高さや希少性が売りだ(静岡市の飲食店)

「やるべきことはやった。次につながる結果が出せたと思う」。漁業者でつくる静岡県桜えび漁業組合(静岡市)の実石正則組合長は秋漁をこう振り返った。

秋漁は10月23日夕の出漁をもって解禁された。2年ぶりの水揚げとあって地元の期待は高まったが、由比漁港と大井川港を合わせた水揚げ量は89.6トンと、2017年(321トン)に比べ3割弱の水準にとどまった。

その背景には、これまでと異なる漁獲基準がある。駿河湾を3つに分け、1歳エビ(体長35ミリメートル以上)の割合が湾奥で75%、中部で50%、南部で30%以上なければ捕らないことにした。主産卵場の湾奥を事実上の「禁漁区」にしつつ、産卵を済ませた1歳エビが多い南部では捕りやすくすることで資源保護と漁業活動を両立させる狙いがあった。結果として操業したのは南部のみ。水揚げ量が少ないのはこうした理由もある。

静岡県水産技術研究所(静岡県焼津市)などが行った今夏の産卵調査では湾内の推定総卵数が急増したことが分かっており、0歳エビの数は回復しているとみられる。池田卓摩研究員は「生態に不明な点は多いが、来年に産卵する0歳エビを今回温存したことで資源回復は十分期待できる」とみる。

一方で、18年から続く不漁は長期戦の様相を見せる。気がかりなのが不漁や相場高騰による地元の疲弊だ。19年秋漁の平均価格は1ケース(15キログラム)当たり7万5000円前後。12万円強をつけた19年春漁に比べれば落ち着いたとはいえ、17年秋漁の2倍の水準だ。

客離れは深刻で、静岡経済研究所の調査では加工業者の4割が廃業を検討していると回答した。すでに廃業例も出ている。県内の加工業者でつくる静岡県桜海老加工組合連合会(静岡市)の高柳昌彦会長は「不漁だからと商材をすぐ切り替えられるわけではない。後継者がいない経営者のなかには決断を早めようとする人もいる」と明かす。

足元では「駿河湾産」というブランドも揺らいでいる。値上がりを受けて安価な台湾産へ切り替える飲食店が増えるなか「駿河丼」など駿河湾産と誤認させる表示が増えているのだ。静岡県の指導は18年度に2件だったのに対し、19年度は10月までで10件に上る。県県民生活課は「氷山の一角。ブランド力の低下につながりかねない」と懸念する。土産物での不適切な表示も確認され、県桜海老加工組合連合会はブランドを守ろうと駿河湾産の統一認証ラベルを作成することを決めた。

サクラエビ漁のシーズンは年2回。次は20年春漁となる。県桜えび漁業組合は過去3回の自主規制を検証したうえで春漁にどう臨むか決める。実石組合長は「来春を乗り越えれば資源回復は好循環に入る」と希望をつなぐ。地元の辛抱は当面続きそうだ。(福島悠太)

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