地域版5G、初日に10者申請 産業のデジタル化加速

2019/12/24 18:48
保存
共有
印刷
その他

関東総合通信局にローカル5Gの免許申請した東京都の宮坂学副知事など(24日、東京・千代田)

関東総合通信局にローカル5Gの免許申請した東京都の宮坂学副知事など(24日、東京・千代田)

企業や自治体が次世代通信規格「5G」を土地や建物限定で活用する、「ローカル5G」の免許申請の受け付けが24日に始まった。初日は全国でNTT東日本やNEC、東京都など合計10の企業・自治体が総務省に申請した。工場の生産ラインの高度な自動制御や農作物の生育管理の効率化などに活用する。企業や自治体のデジタル化を加速する起爆剤になりそうだ。

24日に免許申請したNTT東日本の渋谷直樹副社長。「ローカル5Gで複数のセンサーやカメラをつなぎ、農業や酪農のデジタル化に活用したい」と語った。東京都の宮坂学副知事は「都内の中小企業やスタートアップが5Gをテストできる実験環境を東京臨海部に作る」と話した。早ければ来年2月にも最初の免許が付与される見通しだ。

ローカル5Gは、携帯電話事業者でない企業や自治体が、自らの建物や敷地内限定で5Gを活用できる新たな仕組みだ。免許を取得後に総務省から割り当てられた専用の5G電波を利用できる。

現在活用されているWi-Fiは専用の電波を使わないため通信の安定性に課題が残る。ローカル5Gは安定性が高いほか、高速・大容量で通信のタイムラグがほとんど発生しない。1平方キロメートルあたり100万もの端末を接続できる。こうした利点を自社専用にカスタマイズして利用可能だ。

例えば工場の自動化だ。生産ラインを流れる製品を高解像度のカメラで撮影し、高速・大容量のネットワークを使って人工知能(AI)で解析。不良品があった場合は通信のタイムラグがほとんど無い特徴を生かし、ロボットアームで即座に取り除くといった具合だ。

工場や農場は携帯電話のエリアが十分に整備されていないケースもあった。ローカル5Gはこうした課題を解決し、企業や自治体のデジタル化を加速すると期待される。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」サービスの普及も後押ししそうだ。

関連ビジネスも盛り上がりそうだ。住友商事インターネットイニシアティブ(IIJ)、地域のケーブルテレビ5社などは24日、地域のCATV事業者のローカル5G導入を支援する新会社を設立したと正式発表した。新会社は免許を申請した秋田ケーブルテレビ(秋田市)などのCATV事業者の設備の構築を支援する予定だ。

参入申請は今後も増える見通しで、総務省の担当者は「1年で100社超に広げたい」と意気込む。海外では現行規格の4Gを様々な企業が導入する「プライベートLTE」の取り組みが先行する。日本は4Gでは出遅れたが、ローカル5Gではドイツと並び世界の先頭を走る。日本が巻き返せる可能性がある。

課題はコストだ。数千億~数兆円の投資が必要な携帯大手の5Gと比べて大幅に安いものの、初期投資が数百万~数千万円かかるとされる。機器の低コスト化などが普及のカギを握る。総務省は免許を与える際、サイバーセキュリティー対策も求める。米国が安全保障上のリスクを指摘する中国機器メーカーの機器を使う場合、免許を与えない見通しだ。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]