「政府、もっと危機感を」 電通新入社員自殺から4年 - 日本経済新聞
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「政府、もっと危機感を」 電通新入社員自殺から4年

広告大手電通の新入社員、高橋まつりさん(当時24)が、長時間労働やパワハラに苦しんだ末に自殺してから25日で4年。母の幸美さん(56)は「日本政府は若者が長時間労働やハラスメントが原因で亡くなっていることに、もっと危機感を持って対策に取り組むべきです」とする手記を公表した。

まつりさんの自殺を機に電通の違法残業が発覚。法人としての電通は罰金50万円が確定し、再発防止の取り組みを進めていたが、2018年に社員の違法残業などがあったとして、三田労働基準監督署が今年9月に是正勧告した。

幸美さんは「娘の命と尊厳がまたも踏みにじられた思いです。電通の社風は1人の社員が死んだぐらいでは変わらないだろうという私の予想通りでした」と電通を批判。「グループ全体の労働環境の改革に取り組んでいくことを希望します」と記した。

今年8月に三菱電機の20代の男性新入社員が過労自殺し、兵庫県警が自殺教唆容疑で教育主任の30代男性社員を書類送検した。ほかにも長時間労働やハラスメントを巡る労災認定も後を絶たない。手記では「命がこれほど軽んじられていることについて、国民はもっと声を上げてほしい」とも呼びかけた。

15年に亡くなったまつりさんが生きていたら28歳になっていると思いをはせ、「まつりの友人が結婚や出産をしたと聞くたびに、あぁ…まつりは本当にいないんだなぁと改めて思い知らされます」と心情をつづった。

幸美さんは過労死等防止対策推進協議会の委員となり、厚生労働省の会議や各地のシンポジウムなどで労働環境の改善や過労死防止を訴えている。「若者たちが生き生きと働き幸せな人生を送れる国になるように、皆さんとまつりと共に力を尽くして参ります」と決意を示した。〔共同〕

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