大阪IRの事業者公募開始 全国初、20年6月決定

カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指す大阪府・市は24日、事業者の公募を始めた。全国の自治体で初めてで、決定は20年6月ごろの見込み。府・市はIR予定地の隣で行う2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の開幕前の開業を目指してきたが、工期の短さを懸念する事業者側に配慮し、万博後の26年度の開業を認めた。
横浜市や和歌山県、長崎県などもIR誘致を目指している。国は各自治体の計画を審査して21年度にも最大3カ所を認定する。
IR実施法は、カジノとともに中核5施設が完成していることを開業の条件とし、収容人数や面積など各施設の基準を定めている。府・市は募集要項で▽最大6千人以上収容できる会議室を備えた国際会議場▽10万平方メートル以上の展示施設――など国の基準を大きく上回る施設を求めた。
建設予定地は人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)にある49ヘクタールの市有地。売却せず賃貸とし、貸付期間は35年間とした。

応募する事業者は20年2月までに参加申し込み手続きを済ませ、4月までに提案書類を提出する必要がある。
府・市は▽まず国の基準を満たす施設のみを完成させる一部早期開業▽当初から府・市が求める高い基準をクリアする全面開業――など様々なパターンの提案を認める。開業時期は評価対象としない。

博覧会国際事務局(BIE、本部・パリ)は万博開催中にIRが開業すると、来場者が集中し混乱する恐れがあると日本政府に懸念を伝達。府・市はこれを踏まえ、25年4月13日~10月13日の万博開催中はIRの開業を認めないと募集要項に明記した。
IRと万博の工事が重なったり、万博開催中にIRの工事が行われたりすることへの懸念もある。募集要項では、国家プロジェクトである万博の関連工事が優先されると明記。万博開催中に工事をする場合は騒音や振動などの防止策を求めた。
事業者の審査は2段階。募集要項の条件を満たしているか府・市がチェックした後、府立大と市立大の運営法人で理事長を務める西沢良記氏ら7人で構成する選定委員会が書類や事業者のプレゼンテーションなどを評価する。
事業者の提案は千点満点で評価する。(1)独自性のある優れたコンセプト(2)事業を遂行できる実施体制や財務力(3)ユニークな国際観光拠点の創出(4)交通対策や人材の育成、地域への貢献(5)ギャンブル依存症や治安・防災など懸念事項対策――を主要5項目として掲げた。
大阪のIRには、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同チーム、シンガポールのゲンティン・シンガポール、香港のギャラクシー・エンターテインメントの3事業者が名乗りをあげている。
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