泣く女 詩人 四元康祐

エッセー
2020/2/14 14:00
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日本経済新聞 電子版
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「あなたはもう私のことを愛していないのよ」女が叫んだ。その目にみるみる涙が溢(あふ)れてゆく。周りの人が何事かと振り返った。真正面の僕は、いたたまれず窓の外の麦畑に目を逸(そ)らす。「いつからそうなったの?理由を言って」女はなおも言い募る。電車がホームに滑りこんでも、携帯を耳に押し付けたまま、ピカソの「泣く女」さながらの派手な愁嘆ぶりだ。

結局彼女は、郊外電車が市内に入るまで、時に怒鳴り、時に掻(…

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