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英語操るスポーツ人育成 学科長に元ラグビー代表通訳

2019/12/24 3:00
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理学療法士やスポーツトレーナーを目指す人が通う履正社医療スポーツ専門学校(大阪市)が2020年4月、「スポーツ外国語学科」を新設する。スポーツ界で外国出身の選手や指導者が増え、英語が話せる日本人スタッフの需要が高まっていることから、国内では珍しい「スポーツに特化した英語を学べる」(同校)養成機関を設け、人材育成に乗り出す。

学科長には、15年と19年のラグビーワールドカップ(W杯)で躍進を遂げた日本代表の通訳を務めた佐藤秀典氏が就任。12月22日に開かれた就任記者会見で、佐藤氏は「これまでは(外国人と日本人の)懸け橋という立場だったが、これからは学科全体のかじ取り役になる。身の引き締まる思い」と話した。

新学科のパンフレットを手にリーチ選手(右)と撮影に応じる佐藤氏(12月22日、大阪府豊中市)

新学科のパンフレットを手にリーチ選手(右)と撮影に応じる佐藤氏(12月22日、大阪府豊中市)

日本のスポーツ界は国際化が進み、外国人と日本人がコミュニケーションを取る機会が増えている。ただ、急速に外国出身の選手や指導者が増えたことで通訳の絶対数が足りなくなっており、「全てのコミュニケーションの場に通訳が入るのは不可能」と佐藤氏。

ともすると英語で外国人と話すのはもっぱら通訳の務めと、日本人は直接の交流を敬遠しがちだが、そうした心の壁を取り払う意味でも、これからは「通訳を増やすのではなく、英語を話せるスタッフを増やすことが重要」と思い至った。英語が話せないことを理由に若者がスポーツの仕事に就けないケースが増えている現状も踏まえ、バイリンガルのスポーツ人材を育成したい考えだ。

長年日本人の英語教育に携わってきた、元ベルリッツ・ジャパン(東京・港)副社長で新学科のディレクターを務めるウーリッヒ・クルツ氏がカリキュラムを作成。ネーティブの教員が英語で行う「スポーツ英語」「プレゼンテーション」「多文化コミュニケーション」「スポーツ実況のリスニング」といった授業のほかに、関西のプロスポーツチームの練習に参加し、英語でのコミュニケーションを学ぶ現場実習などを計画している。

3年制の昼間部と、社会人や大学生が通いやすい2年制の夜間部を併設する。昼間部では2年次に、全員を対象に1年間の米国留学を実施。帰国後の3年次に佐藤氏による「スポーツ通訳」など、より専門的な授業を受けることで高いレベルの語学力定着を目指す。新学科で英語を学びながら、トレーナー資格取得のための「国際アスレティックトレーナー専攻」などの授業を履修することもできる。

母が社会人ラグビーのワールド(09年に休部を発表)で通訳を務めた縁で自身も同じ道を歩み、15年ラグビーW杯でエディー・ジョーンズ、19年大会ではジェイミー・ジョセフの両ヘッドコーチの右腕として選手らとのパイプ役を担ってきた佐藤氏。16年に履正社側から聞いた新学科構想に賛同し、学科長就任の要請を「二つ返事で」受け入れたという。

「通訳のキャリアの集大成と考えていた」という19年W杯が終わり、日本代表から離れることには「もちろん、さみしい気持ちはある」ものの、今は新学科の仕事に「全身全霊をささげる」と気分一新の面持ちで話す。

12月22日は就任会見の後、15年と19年のラグビーW杯で日本代表主将を務めたリーチ・マイケル(東芝)と佐藤氏のトークイベントも行われた。ニュージーランドを出て、札幌山の手高時代から日本でラグビーと日本語を上達させる中、「世界のスポーツ(が盛んな)国の中で日本ほど英語が話せない国はない」現状を憂えてきたリーチは「自分の娘を行かせたいくらい」と新学科の理念に共鳴。技術や献身性に優れる日本のトレーナーが、英語を身につけて海外のチームに招かれれば「日本の技術を海外に持っていく」ステップにもつながるとの見方を示すとともに、代表で長年苦楽をともにした佐藤氏を「サポートしたい」とも話した。

盟友から心強い励ましを受けた佐藤氏は「皆で切磋琢磨(せっさたくま)して、(学生と)夢を共有していきたい」。自身が先頭に立ち、教員や学生とつくる新たな「ワンチーム」に思いをはせている。

(合六謙二)

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