立冬の候 作家・医師 南木佳士

エッセー
2020/1/12 2:00
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日本経済新聞 電子版
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その他

週四日の非常勤で千曲川沿いに建つ病院に徒歩通勤している。田んぼや畑のなかの路で行き会う生き物はカラスとトンビだけ。北に浅間山、南西に八ヶ岳を見やりつつ黙々と三十分歩く時間をなによりも好む。

書き残している小説がまだあるのではないか、との内なる声はときおり聞こえるが、速歩で血流のよくなった身は歩くことそのものの快に満たされ、ことばで世界をかたどろうとする無鉄砲で難儀で不健康な座業にもどりたがらない…

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