保育士の賃金加算7億円使われず? 会計検査院指摘
保育士の賃金を引き上げるため、国などが2016~17年度に支出した保育施設への交付金のうち、約7億円が使われていなかったとみられることが21日までに、会計検査院の調査で分かった。検査院は制度を所管する内閣府に対し、市町村を通じた確認や指導の徹底を求めた。

問題となったのは、保育所や認定こども園、幼稚園に管理・運営費として毎年度交付される「施設型給付費」のうち、職員の勤続年数などに応じて増額される「処遇改善等加算」。子ども・子育て支援法に基づき、国が2分の1、残りを都道府県と市町村が負担する。
この加算は施設側が職員の賃金引き上げに充てることになっており、当該年度で使い切れず残額が生じた場合、翌年度の職員の賃金に上乗せしなければならない。
検査院は今回、16~17年度に施設型給付費を受給した全国の施設の中から6089施設を抽出し、同加算分が適切に使われていたかを調査した。
その結果、当該年度で生じた残額の一部または全額を翌年度の職員の賃金に上乗せしていなかったケースが約4億6800万円分見つかった。施設側に理由を尋ねると、「失念していた」との回答が目立った。
このほか、残額を適切に処理したか確認できない事例も約2億5100万円分あった。検査院は大半が賃金の上乗せに充てられなかったとみている。
今回の指摘を受け、内閣府は「都道府県などに出している関係通知を見直し、こうした事例を防止・確認できる仕組みづくりを今後検討したい」としている。