日本郵政グループと総務省 なれあいで統治不全

2019/12/20 23:45
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記者会見する高市早苗総務相(20日、総務省)

記者会見する高市早苗総務相(20日、総務省)

20日に辞職した鈴木茂樹前総務次官による日本郵政への行政処分情報の漏洩は、2007年に民営化した日本郵政グループが今もなお総務省ともたれ合う構図を浮き彫りにした。監督官庁と企業は適切な距離を保たなければ、企業統治(ガバナンス)は働かない。かんぽ生命保険の不適切販売でも指摘された郵政のガバナンス不全が露呈した。

高市早苗総務相は記者会見で、最初に疑いを持ったのは総務省が日本郵政に行政処分に向けた報告徴求命令を出した12月13日だと語った。14~16日の郵政側の動きを聞き、「私がどう話したかも含めて伝わっている印象を持った」という。

「大臣室に入っていた人間は限られる。ごく少数しか知り得ない。漏れるとしたら数名」。高市氏が17日に内部監察で前次官に問いただしたところ漏洩を認めた。極めて秘匿性の高い内部情報が日本郵政の鈴木康雄上級副社長に伝わっていた。

前次官には18日に自宅待機を命じた。19日夜に高市氏が電話した際に辞任の申し出があった。前次官は19、20日と欠勤したが周囲には「インフルエンザかもしれない」などと説明していた。情報漏洩の動機について明確な説明はなく「軽率な行動で迷惑をかけた」と述べるだけだったという。鈴木副社長には事情聴取していないとして、郵政グループ内で処分情報がどこまで伝達されていたかは不明という。

情報を受け取った鈴木副社長は1973年に旧郵政省に入省。2009年に総務次官に就いた。13年から郵政の副社長を務める。郵政グループの人事を取り仕切るなど実権を握ってきた。鈴木前次官は81年入省で今年7月に次官に就いた。当然、2人は旧知の仲だ。

10年の退官後も「郵政のドン」と呼ばれる鈴木副社長は現役次官を上回る影響力を持っているといわれていた。郵政グループの幹部は「鈴木副社長に総務省が情報を入れるのはこれまでも普通にあった」と明かす。郵政がかんぽ問題を報じたNHKに抗議した際の中心人物でもある。

保険料の二重徴収などかんぽの不適切販売問題の原因究明にあたる外部弁護士らの特別調査委員会は18日、ガバナンス不全を原因の一つとする報告書を公表した。ガバナンス不全の一端を監督官庁が担ったといえる。

高市氏は記者会見で「郵政グループの取締役クラスに旧郵政省採用のOBが入ることはマイナスが大きい」と指摘した。総務相は日本郵政の取締役の認可権を持つ。「来年の郵政の人事のときに私が閣僚かは分からないが、認可するかどうかの基準として考えたい」と述べた。取締役である鈴木副社長が20年6月の株主総会後も留任する可能性は低い。

高市氏はかんぽ問題を受けた日本郵政と日本郵便に対する処分内容を「修正する」と述べた。年内に処分を下すスケジュールは変えない。

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