沖縄振興費、一括交付金 最低1014億円 20年度予算案
総額は3年連続同額、辺野古対立「県外し」鮮明

2019/12/20 18:24
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政府が20日閣議決定した2020年度予算案で、沖縄振興費は3年連続で同額の3010億円だった。使途の自由度の高い一括交付金は6年連続で減少し、過去最低の1014億円だった。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡る国と県の対立が影を落とす。国が県を通さず予算配分する構図も鮮明になった。首里城再建や、観光インフラ整備としてモノレール3両編成化は盛り込まれた。

衛藤晟一沖縄・北方相は同日の記者会見で「3000億円を確保できた。有効に活用し沖縄振興に全力で取り組む」と話した。玉城デニー知事は「要望した満額が確保されなかったことと、一括交付金が減額となったことは誠に残念」とのコメントを発表。県経済団体会議の石嶺伝一郎議長は「厳しい財政状況の中、19年度と同額を確保してもらった」と評価した。

沖縄振興費は政府が沖縄で実施する事業費などの総額。安倍晋三首相は13年、当時の仲井真弘多知事に21年度まで3000億円を確保すると約束し、20年度もクリアした。ただ14年度の3501億円がピークで、普天間の名護市辺野古移設に反対する翁長雄志知事の就任後は減少傾向にある。

12年度に創設された一括交付金は県が市町村と調整し配分先を決める。県は概算要求段階で1800億円を要望したが、内閣府による概算要求は1187億円にとどまり、さらに財務省との折衝で削られた。市町村事業に影響を与えかねず、不満も高まりそうだ。

一方で増えたのが沖縄振興特定事業推進費だ。19年度に創設され、市町村事業に政府が直接交付できる。20年度は83%増の55億円。沖縄県の経済関係者は「県の頭越しに予算を配る制度。一括交付金も減りますます『県外し』が進む」と話す。

辺野古を抱える名護市は18年に保守系市長が誕生。名護を中心とする北部地域の振興費は変わらず35億円を確保した。沖縄では20年の5月か6月に県議選が控える。予算配分で揺さぶりをかける政府の意図が透ける。

個別事業では、10月末の火災で正殿などが焼けた首里城の再建関連費として10億円相当を確保した。正式配分は予算成立後に決まるが、再建に向けた調査や焼け残った建物の解体などにあてる。

公共事業全体では1420億円と同額を盛り込んだ。毎年200億円規模を計上してきた那覇空港第2滑走路の建設が19年度中に終わる。その分、20年度は道路や港湾、農業関連を手厚くした。

沖縄都市モノレール(那覇市)が運営する「ゆいレール」の3両編成化は事業の8割を国が補助する制度を設けた。ゆいレールは現在2両編成のみで観光需要などに対応できていない。22年度にも3両編成を導入する。

沖縄科学技術大学院大学は先端研究の施設整備費などとして203億円を盛り込んだ。宜野湾市の米軍返還地に琉球大学医学部などを移設し、医療拠点をつくる事業は30億円増の89億円を計上。24年度の完成を目指す。内閣府は「返還された軍事施設が良いものになると認識してもらうモデルケース」と強調する。

新規事業として既存施設をテレワーク施設に改修する事業や、小規模離島の海底送電ケーブル整備事業を始める。ものづくり産業育成を目指す産業イノベーション創出事業は同額の13億円、子供の貧困対策は1億円増の14億円を計上した。

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