英中銀次期総裁にベイリー氏 20年3月就任

2019/12/20 18:10
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【ロンドン=篠崎健太】英政府は20日、英イングランド銀行(中央銀行)の次期総裁に、元副総裁で金融行為監督機構(FCA)長官のアンドリュー・ベイリー氏(60)を選んだと発表した。2020年3月16日に就任し、カーニー総裁(54)から金融政策のかじ取りを引き継ぐ。1月末に見込まれる英国の欧州連合(EU)離脱直後のトップ交代となり、離脱対応が最大の課題となる。

英イングランド銀次期総裁に決まったベイリー氏=ロイター

次期総裁の任期は8年間で、政府の助言に基づき女王が任命する。カーニー氏は20年1月末に退任する予定だったが、準備期間を確保するため、3月15日まで任期を延ばすことになった。

ジャビド財務相は同日の記者会見で、ベイリー氏を選んだ理由として、約30年にわたる中銀での幅広い経験や米金融危機対応でみせたリーダーシップなどを挙げた。「傑出した候補者で、EU離脱で新たな未来を築くにあたりイングランド銀を率いるふさわしい人物だ」と期待を示した。

ベイリー氏はキャリアの大半をイングランド銀で過ごした生え抜きだ。1985年に入行し、総裁秘書や発券部門の責任者などを経て、2013年に副総裁(金融機関監督担当)に就いた。16年に金融規制機関であるFCAのトップに転じた。

FCAでは金融界のEU離脱への備えを進めたほか、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の21年末での廃止方針を打ち出すなど、規制当局として英金融街シティーで存在感を発揮してきた。

次期総裁にはEU離脱対応の難題が待ち受ける。ジョンソン政権は今の英・EU関係を保つ移行期間を20年末で打ち切る方針を明確にしており、通商交渉などの時間切れによる新たな「崖」に懸念が広がっている。移行期間後は、英国はEUの金融規制の枠組み「単一パスポート」から外れる。離脱後の景気下支えと新たな英・EUの金融関係構築の2つが課題だ。

ベイリー氏は金融規制・制度面での経験が豊富な半面、金融政策の手腕や立場は未知数だ。副総裁を16年まで3年余り務めたが、金融監督の担当で金融政策委員会メンバーではなかった。イングランド銀は17年11月に利上げ路線に転じて以来、物価上昇率を抑えるため緩やかな引き締めを続ける姿勢を保っている。

当初18年6月末で退く計画だったカーニー氏は、EU離脱対応を求める政府の要請で任期を2度延ばしていた。政府は4月に総裁人事に着手したが、メイ首相(当時)の退陣や総選挙などEU離脱絡みの政局で選定が遅れた。カーニー氏の時は約7カ月の準備期間があったが、今回は3カ月弱しかない。EU離脱も重なり、序盤からフル回転が求められている。

総裁人事をめぐっては、元副総裁で英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス学長のミノーシュ・シャフィク氏などが有力候補に取り沙汰されていた。同氏は初の女性総裁になる可能性が注目されていたが、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)はEU離脱に対する批判的な姿勢を一因に外れたと伝えた。

カナダ出身でカナダ銀行(中銀)総裁だったカーニー氏は13年、英政府に引き抜かれる形で外国人として初の総裁に就いた。就任後はリーマン・ショックや欧州債務危機で傷んだ英金融システムの健全化や、EU離脱対応に尽力してきた。退任後は国連の気候変動問題担当の特使になることが決まっている。

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