レノボ、「eスポーツ」の社会人リーグを開催
レノボ・ジャパンはゲーム対戦競技「eスポーツ」の社会人リーグを開催する。このほど参加企業を募集し始めた。2020年に企業同士の対抗戦を開く計画だ。サッカーやラグビーなど通常のスポーツは社会人リーグが一般的だが、ゲームは実業団スポーツとして浸透していない。レノボは社員同士が交流できる場としてeスポーツを位置づけて、企業に導入を促す。国内でのeスポーツの普及につなげたい考えだ。

レノボは参加企業同士が交流するオンライン上のコミュニティーを設立した。会員企業だけがログインできる専用サーバーをゲームに特化したチャットツールに設けた。同社のゲーム向けパソコンブランドのサイトからもアクセスできる。ゲームの種類に応じたチャットルームも設ける。社員や参加企業の間でのコミュニケーションを促進し、士気向上に役立てる。
レノボは企業によるeスポーツ部の立ち上げを支援する。ゲームは企業の部活として浸透していないため、導入のノウハウを持つ会社は少ない。例えばパソコンやインターネット回線を業務と切り離すべきか、といった課題が想定される。レノボはeスポーツの導入に関する悩みをコミュニティー上で企業が相談できるようにする。一部の企業には期間限定でパソコンも貸し出す。

社会人リーグの目玉はオンライン上で開く企業同士の対抗戦だ。20年5月に1回目を開く。飲み会の回数が減る中、新入社員が入社する少し後に開催することで、社内コミュニケーションの促進につなげる。アマチュア向けの大会という位置づけを示し、プロゲーマーの参加は受け付けない。今後の展開は大会の反応などをみて決める方針。
コンピュータエンターテインメント協会は19年の調査でゲームを継続して楽しむ人口は4735万人いると推計。多くの社会人もゲームを楽しんでおり、レノボは潜在的な需要があるとみる。すでに幅広い企業と参加に向けたやり取りがあるという。将来的には50社程度が参加するコミュニティーをめざす。
日本では家庭用ゲーム機やスマートフォンでゲームを楽しむ消費者が多い。パソコンは高性能なハードウエアを使ってスマートフォンよりも本格的なゲームを楽しめるのが特徴だ。レノボ・ジャパンのデビット・ベネット社長は「他国に比べて小さいパソコン向けゲーム市場を伸ばしたい」と意気込む。米グーグルはクラウド技術を使ってゲームをストリーミング配信するサービスを始めた。ソニーや米マイクロソフトもクラウド化に向けて手を打っている。長期的にはこうした動きもパソコン市場の拡大を後押ししそうだ。
(企業報道部 清水孝輔)
[日経産業新聞 2019年12月13日付]