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三菱航空機、遅れるジェット機開発 迫るライバル

三菱航空機は20日、名古屋市内で定例の記者会見を開いた。開発中の民間航空機「スペースジェット(旧MRJ)」について水谷久和社長は「12月も迫っており、厳しい(開発)スケジュールには違いないと思っている」と語った。12日にはブラジルのエンブラエルが競合機の初飛行に成功しており、ライバルの足音も迫っている。

「全体のスケジュールを精査している。まとまったところでお話させていただく」。水谷社長は記者からの開発の遅れに対する質問にこう返すのが精いっぱいだった。2020年半ばとしている初号機納入は絶望的になっている。

開発責任者のアレックス・ベラミー氏も「航空産業は1年ではなく10年かかる、すごく難しいビジネスだ」と訴えた。

ベラミー氏は17~19年の間に900件以上の設計改良があったことなどを説明した。特に三菱航空機を悩ませてきた設計変更は配線系の変更だ。開発当初からテロ対策など航空産業をめぐる情勢や対応した安全規制が大きく変わりスペースジェットの開発が遅れた。

三菱航空機は「10号機」と呼ぶ型式証明(TC)取得をするための最終的な機体開発もまだ終えていない。当初は6月を予定していたが、越年は確実な情勢だ。

三菱航空機にとって地域運航機であるリージョナルジェットは最新鋭の高効率エンジンを搭載した最新モデルとして「ライバル不在」となるはずだった。だが、膨大な配線設計変更に手間取る間にここへ来てライバルも猛追している。

ライバルのエンブラエルは「E175-E2」のブラジルでの初飛行に成功しTC取得に向け前進した。低燃費が売り物の米プラット&ホイットニー製のGTFエンジンを搭載し、80~90席とほぼ競合する。国内大手航空会社の担当者からは「三菱の機体がなければエンブラを買えばいい」との声も上がり始めた。

三菱航空機にとって本丸はTC取得を目指す開発中の機体でなく、70席クラスの北米向けの機体「M100」だ。この機体を投入できれば文字通り「独壇場」となるが、次のモデルもまずは開発を進める現有の90席クラスの機体のTCを取ることが前提になる。開発のさらなる遅れは販売戦略にとって命取りとなる。

スペースジェットのTC取得作業は国土交通省管轄だ。米連邦航空局(FAA)から取得したホンダジェットなどと異なり、国内の当局にもノウハウが不足している。三菱航空機は自社の開発体制をうまく取りまとめて書類提出作業を速めるだけでなく、TC取得を迅速に進めるため国交省との連携もカギを握る。(渡辺直樹)

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