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壁を駆け自転車が舞う 都市映えスポーツ、五輪に新風

東京五輪では「アーバン(都市型)スポーツ」と呼ばれる若者に人気の競技が多く加わった。スケートボードや3人制バスケットボールなどが集中して行われる臨海部の会場は、伝統競技とはまた違った開放的な雰囲気の中で盛り上がりを見せそうだ。

スケートボード

その起源は諸説あるが、1940年代に米国西海岸で木の板に鉄の車輪をつけて滑って遊んだのが始まりとされる。50年代にゴム製の車輪がついた商品が販売され、80~90年代に世界に広まったスケートボード。90年代後半からは音楽、ファッションを伴ってストリート文化の中心を占めるようになったが、ついに五輪に登場する。

大きな「おわん」をいくつも組み合わせたようなくぼ地状のコースで行う「パーク」と、街にある階段や縁石、手すりなどを模したコースを滑る「ストリート」の2種目が東京大会では採用された。競技でも技の難易度、完成度などで総合的に採点されるが、オリジナリティーも評価対象で「かっこいい」と思わせることも重要な要素だ。

パークは湾曲がついた傾斜を滑り上がり、空中に飛び出してのエア(ジャンプ)やリップ(縁)を使った滑りの出来栄えを競う。日本勢は女子が世界屈指の層の厚さを誇る。2019年9月の世界選手権を制した13歳の岡本碧優(MKグループ)は女子では難しい、空中で1回転半する「540」を得意技に持ち、スピード感ある滑りにも他を寄せ付けぬ安定感がある。世界選手権では四十住さくら(和歌山・伊都中央高)も2位に入るなど有力選手が目白押しだ。

ストリートでは男子で世界選手権銀の堀米雄斗(XFLAG)が初代五輪王者を射程圏に捉えている。真骨頂は、誰もやったことのない技を次々と生み出す独創性。ボードを複雑に回転させて手すりなどに飛び移る技の数々は世界最高峰のプロツアー「ストリートリーグ」でも本場のファンを魅了している。世界選手権覇者のナイジャ・ヒューストン(米国)らとの戦いに打ち勝つため五輪ではどんな新技を繰り出すか、注目が集まる。

自転車BMXフリースタイル・パーク

五輪競技でも一、二を争うアクロバチックなパフォーマンスを見られるのが自転車BMXのフリースタイル・パークだ。ハンドルが360度回転する特殊な自転車を用い、ライダーが1分間の制限時間に繰り出す曲芸のような技の数々は息つく暇もない。

BMXは70年代初頭、米西海岸で子どもたちがモトクロスに憧れ、車輪の直径20インチ程度の自転車を乗り回したのが原点とされる。既に五輪種目になっているレース競技から、技を採点するフリースタイルが分化した。

多様なジャンプ台やすり鉢状のプールのようなセクションが配置され、どこを通るかは自由。宙返りの「バックフリップ」や横回転のほか、自転車だけを回転させる「テールウィップ」やハンドルを回す「バースピン」などを組み合わせた技の難易度や高さ、完成度などで採点される。複数の技を組み合わせる「コンボ」も高得点への欠かせないカギとなる。

日本勢では中村輪夢(ウイングアーク1st)が伸び盛り。2019年8月にプロ最高峰の「Xゲーム」で銀メダルを獲得すると、秋に中国で行われたワールドカップ(W杯)で日本男子初優勝を飾った。「高さには自信がある」という17歳は、東京でも新競技の魅力を存分に表現してくれるだろう。18年にW杯初優勝した大池水杜(ビザビ)の、タカのように両手を広げて高々と舞い上がる「ノーハンド」も必見だ。

スポーツクライミング

各地の体育館などに施設ができ、普及が進んできたスポーツクライミング。一般に知られるのは「ボルダリング」だが、東京五輪では「スピード」と「リード」を合わせた「複合」で争われる。

野口啓代は長く第一人者として世界をリードしてきた(2019年8月、東京都八王子市のエスフォルタアリーナ八王子)

ホールド(突起物)をつかみ壁を登っていく点は同じでも、統一ルートを登る速さを競うスピードと他の2方式は特性が異なる。高さ4メートル程度の壁をいくつ登れたかで競うボルダリングは握力やバランスが求められるのはもちろん、ホールドのつかみ方一つで成否が分かれるパズルの要素を持つ。約15メートルの壁をどこまで登れたかで勝負するリードは持久力が肝要だ。

日本の実力は男女ともトップクラス。2019年複合世界王者の楢崎智亜、長く第一人者として世界をリードしてきた野口啓代(ともにTEAM au)らが体一つで懸命に高みを目指す姿を目に焼き付けたい。

サーフィン

自然の波を相手に、ダイナミックな技が次々と繰り出される採点競技だ。ヒートと呼ばれる試合では2~5人が同時に海に入り、30分前後の制限時間内に何度でも波に乗ることができる。

プロ最高峰、チャンピオンシップツアーで活躍する五十嵐カノアはメダル候補だ(2019年9月、宮崎市の木崎浜海岸)

波の頂上で立体的な曲線を描く「カービングターン」や、板を波に押しつけて大きなしぶきを起こす「レイバック」が基本技。スピードに乗って高く飛び上がる「エア」といった大技を含め、体幹の強さや繊細なテクニックが欠かせない。

プロ最高峰、チャンピオンシップツアーで活躍する22歳の五十嵐カノア(木下グループ)は男子のメダル候補だ。会場となる千葉・九十九里浜の釣ケ崎海岸では、大会期間に合わせて音楽などを楽しめる「サーフィンフェスティバル」も開催される。

3人制バスケットボール

長く「3オン3」と呼ばれ、ストリートで独自に発展してきた3人制バスケットボール。国際連盟が統一ルールを定め、呼び名も「3x3(スリー・エックス・スリー)」に変わった。男女各8チームが頂点を競う。

コートは5人制の約半分でゴールは1つ。攻守の切り替えが魅力だ(3人制バスケットボールのワールドカップでプレーする日本代表)=日本バスケットボール協会提供

コートは5人制の約半分でゴールは1つ。1試合は10分間を戦うか、21点先取で終了となる。ボールを保持したら12秒以内にシュートを放つ必要があり、5人制から移った選手の多くが「全く違う種目」と驚くほど、めまぐるしい攻守の切り替えが魅力だ。

日本は男女とも開催国枠を得られる見通しだったが、昨秋に世界ランキング上位だった男子のみに同枠が認められた。女子は身長181センチで機動力もある馬瓜ステファニー(トヨタ自動車)らが主力で、3月にインドで開かれる予選で出場権獲得を目指す。

(西掘卓司、鱸正人)

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