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高校ラグビー、公立校支える教員OB

12月27日に全国高校ラグビー大会が東大阪市花園ラグビー場で開幕する。2連覇を狙う大阪桐蔭など全国の強豪に注目が集まる中、この舞台にいつか立つことを夢見る高校生を支える人がいる。大阪府内の公立高校で指導してきた田中伸明さんだ。

大阪教育大でFBとしてプレーした田中さんは卒業後、大阪府立北野高に教員として赴任。ラグビー部の指導に携わるようになり、監督も務めた。橋下徹元大阪市長らを教え子に持ち、全国大会出場も経験した。

2019年のNZ留学に参加したメンバー(左端が田中さん)

転機が訪れたのは、自身3校目となる大阪府立天王寺高への転任後。かつて大阪では北野、天王寺、四條畷などの公立校が全国大会の出場枠を占めていたが、次第に大阪工大高(現常翔学園)などの私学に取って代わられていった。力関係の逆転を歯がゆく感じていた中、別の公立校教諭と「伝統校の灯を消したらあかん」と思いが一致。府内の公立校が集って対戦する交流会を開くようになった。

2016年3月の退職後、さらに支援のアクセルを踏み込んだ。17年2月にNPO法人「ノーサイドアール」(大阪市)を設立。同年3月には公立校の部員をニュージーランド(NZ)に短期留学させる取り組みを始めた。毎春、クライストチャーチに約1週間滞在し、19年は北野と天王寺の計約20人が参加。元NZ代表のネーサン・メージャー氏の指導を受け、スーパーラグビーの試合も観戦した。

教員時代に海外で審判の経験を積んだ田中さんは、関西ラグビー協会レフリー委員長の顔も持つ。同協会が関西とNZの大学生選抜チームを対戦させるなど本場との交流を進める中、田中さんは現地の審判らと親交を深めてきた。その縁が留学支援に生きている。

短期留学を始めた17年と18年は、スポンサーの協力を仰ぎつつ、身銭を切って子どもたちをNZに連れていった。7人制の交流会や、北野OBで元日本代表主将の広瀬俊朗氏の講演会も開くなど活動内容は幅広い。その原動力は何か。「勉強がしんどい中で頑張る子をたくさん見てきた。そういう子たちに色々な経験をしてほしい」。支援のかいもあり、一時は部員不足で休部に追い込まれた北野では、単独チームがつくれるところまで部員数が回復した。

大阪は東海大大阪仰星や大阪桐蔭など私学の牙城が堅く、公立校の全国大会出場は至難。ただ、大舞台に立つ夢がかなわずとも、将来社会人として羽ばたくにあたり、「その基礎が高校時代にあったと思える経験をしてくれたら」と田中さん。教壇を降りても若者に注ぐ情熱は衰えを知らない。

(合六謙二)

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