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ワカメなどの海藻 よく食べる人は心筋梗塞リスク低く

海藻類をよく食べる人は心筋梗塞になりにくいことが分かった。写真はイメージ=(C) David Kadlec -123RF
日経Gooday(グッデイ)

日本の中年男女を対象とする研究で、ワカメや昆布、海苔などの海藻をほぼ毎日食べる人は、ほとんど食べない人に比べ、心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症するリスクが低いことが分かりました。特に女性では、リスクが44%低くなっていました。

海藻は、ミネラルやビタミン、水溶性食物繊維、フラボノイドなどを豊富に含んでいます。これまでに、海藻に含まれるカロテノイド、ペプチド、繊維が、総コレステロール値、血糖値、血圧に好ましい影響を与えるという報告がありました。また、日本人において、食物繊維の摂取量が心血管疾患(脳卒中や虚血性心疾患)のリスクと逆相関することも示されていました。しかし、海藻の摂取量と心血管疾患リスクの関係については、質の高い検討は行われていませんでした。

そこで筑波大学の村井詩子氏らは、日本人を対象として、海藻の摂取量と脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)または虚血性心疾患(心筋梗塞、心臓突然死)[注1]を発症するリスクの関係を調べることにしました。

海藻をほぼ毎日食べる人とほとんど食べない人を比較

対象としたのは、JPHC Study(多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究)に参加した、40~69歳の男女約8万6000人です。登録前に、脳卒中、心筋梗塞、狭心症、がんを経験していた人は除外しました。

登録時点である1990~1994年に食物摂取頻度調査を行い、海藻(ワカメ、昆布、海苔、その他)の摂取の程度を調べ、回答に基づいて対象者を「ほとんど食べない」「週に1~2日」「週に3~4日」「ほぼ毎日」の4群に分けました。

ほとんど食べないと回答したグループの1日平均の海藻の摂取量は、男性が0.3g/日、女性は0.2g/日で、ほぼ毎日食べると回答したグループでは、男性が4.7g/日、女性は3.9g/日でした[注2]

海藻を頻繁に食べていた人では、そうでない人に比べ、野菜、果物、赤身肉と加工肉、魚、大豆製品、食塩の摂取量が多く、喫煙者は少ない傾向が認められました。

[注1]心臓突然死とは、急性症状の発現から1時間以内の死亡のうち、心臓に原因があると見なされたものをいう。

[注2]焼き海苔5枚で約2g、ワカメ(生)の酢の物1皿で約20g(国立保健医療科学院の食物摂取頻度調査票より)

それらの人々を約20年間追跡し、脳卒中と虚血性心疾患の発症の有無を確認し、男性と女性を分けて、海藻摂取量との関係を調べました。分析においては、結果に影響を及ぼす可能性のあるさまざまな要因(居住地域、年齢、体格、余暇時間の運動習慣、喫煙習慣、飲酒習慣、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、総エネルギー摂取量、野菜、果物、赤身肉、加工肉、魚、大豆製品、緑茶、食塩の摂取量)について慎重に考慮しました。

8万6113人を149万3232人-年[注3]追跡したところ、4777人が脳卒中を発症し、1204人が虚血性心疾患を発症していました。

虚血性心疾患のリスクが男性で24%、女性で44%低下

男性では、海藻をほとんど食べない人を参照とすると、ほぼ毎日食べる人の虚血性心疾患のリスクは24%低くなっていました。一方で、海藻摂取量と脳卒中のリスクの間には、統計学的に有意な関係は見られませんでした。また、虚血性心疾患と脳卒中を合わせて、海藻摂取との関係を調べたところ、統計学的有意差は示せませんでしたが、リスクは12%低下する傾向が見られました。

女性についても同様に分析したところ、ほぼ毎日食べる人の虚血性心疾患のリスクは、ほとんど食べない人に比べ44%低いことが分かりました。一方で、海藻摂取量と脳卒中のリスクの間には有意な関係は見られませんでした。虚血性心疾患と脳卒中を合わせると、リスクは11%低下する傾向が見られましたが、統計学的有意差は認められませんでした。

以上のように、海藻の摂取量は、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症リスクと逆相関の関係を示しました。研究者たちは、「海藻を摂取する人は、健康に良い食事を心がけている可能性があるため、野菜や果物、大豆、魚、緑茶などの摂取量も考慮して分析したが、結果は一貫していた」と述べています。

論文は、2019年9月13日付のThe American Journal of Clinical Nutrition誌電子版に掲載されています[注4]

[注3]人-年:観察した年数と観察した人数を掛け合わせたもの

[注4]Murai U, et al. Am J Clin Nutr. 2019 Dec 1;110(6):1449-1455

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday2019年12月18日付記事を再構成]

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