交通、整備新幹線の事業費上振れ 20年度予算案

整備新幹線の国費負担は2019年度予算と比べて12億円増の804億円に増やした。建設中の北陸新幹線(金沢―敦賀)と九州新幹線(武雄温泉―長崎)は人件費や資材費の増加で、建設費が当初の想定よりも3451億円上振れる見込み。国費の増額やそれに伴う地方負担の積み増しによって対応する。
新幹線の建設費はJRが国に支払う施設使用料(貸付料)を充当し、残りの3分の2を国、3分の1を地方自治体が負担する。今回決まった国費の増額やそれに伴う地方負担、一時的な財源調達を加味しても、なお346億円分は財源が決まっておらず、20年以降の予算編成の焦点となる。
交通分野では次世代の輸送サービスである「MaaS(マース)」の普及も進める。事業者の実証実験への支援や交通機関におけるキャッシュレス対応の推進といった取り組みに対して1億円超を盛り込んだ。
本格的な自動運転である「レベル3」の実用化を見据えて、事故調査のための体制も整える。自動運転車の事故はシステムの不具合が要因となる可能性があるほか、運転ミスや道路環境の原因も想定され、調査はより複雑で時間もかかると見込まれる。4千万円を計上し専門組織を設ける。