ニシキゴイ輸出拡大 新潟の生産者、効率的輸送に工夫

2019/12/20 2:00
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高級観賞魚のニシキゴイの輸出が拡大している。美しさや優雅さに加え、アジアなどで縁起がいい魚とされ、中国をはじめ海外で人気が高まっているからだ。1匹数百万円の高値で取引されることも。「泳ぐ宝石」の安全で効率的な輸送を目指し、新潟県の養鯉(ようり)業者は工夫を凝らし、研究機関も新技術開発に力を入れている。

10月下旬に長岡市内で開いたニシキゴイのオークション。国内外から72の業者が参加し会場は熱気に満ちていた。意中のコイを射止めようと米国やドイツ、中国、タイ、ベトナムなどの参加者も大金を投じて競り合った。

養鯉業者の経営を支えるのはこうした海外勢の旺盛な需要だ。生産や販売、輸出も手掛ける錦鯉新潟ダイレクト(長岡市)の大面富士雄取締役は「売上高の95%を海外が占める」と話す。県内最大の大日養鯉場(小千谷市)も「アジアを中心に売上高の90%以上が海外だ」(間野太社長)。

取引先や愛好家とのトラブルを避けるには、いかに温度管理などを徹底し、安全で効率的にコイを目的地まで運ぶかがカギを握る。錦鯉新潟ダイレクトは他社に先駆け、輸出専用の容器を導入した。発泡スチロール製品製造のトーホー工業(大阪市)と日本通運が連携し、開発した発泡スチロール製のニシキゴイ輸送容器だ。

以前は段ボール製の資材で梱包、輸送していた。6~9月の夏場は輸送中に容器内の水温が急激に上がり、コイの体調に異変を起こすリスクがあり、輸出できなかった。だが、発泡スチロール製の容器は断熱性が比較的高く、内部の水温上昇を抑えられ、通年で輸出できるようになった。

日本以外にもイスラエルやタイ、インドネシアなどニシキゴイを生産し、輸出する国がある。国際間競争に勝つためにも輸送コスト低減は欠かせない。専用容器は段ボール製に比べ価格は高いが、重量を軽くできることから、輸出費用は総じて低く抑えられるという。

ニシキゴイやニジマスなどの養殖技術を研究する新潟県内水面水産試験場(長岡市)は、輸送効率を向上させるための技術開発に取り組む。18年度は輸送時のビニール袋の中の環境変化を調査。佐藤将・養殖課長は「魚の健康状態に二酸化炭素(CO2)の増加が大きく影響していることが確認できた」と語る。

19年度は同じ水の量でも運べるコイの数を増やせるよう研究を進めている。麻酔とCO2吸着剤を併用し、輸送中の活動量を減らしてCO2発生を抑えるという。

観賞魚としての価値を落とさないよう、疾病対策の技術開発も進めている。ニシキゴイの体の表面に穴があく「穴あき病」は感染力が強く、致死率も高い。だが、ウイルスを持っていても発症しなければわからなかった。発症前に早期に診断できるよう、体の表面の粘液からウイルスを検出する研究に取り組む。

ニシキゴイの輸出は、政府のクールジャパン戦略にも位置付けられる。鑑賞用魚の2018年の輸出額は前年に比べ18%増の43億3000万円とこの10年間で倍増した。米英やオランダ、ドイツに加え、近年は中国やタイ、台湾、インドネシア、ベトナムなどアジアの富裕層向けが輸出額を押し上げる。養鯉業者や県などは商機を失わないよう新技術開発を進める。

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