「つながる家電」広がる選択肢 Amazonなどが通信統一

2019/12/19 20:00
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米IT3社は「IoT」の家庭機器向けの共通の通信方式作りに乗り出す

米IT3社は「IoT」の家庭機器向けの共通の通信方式作りに乗り出す

米IT(情報技術)大手のアマゾン・ドット・コム、アップル、グーグルが、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の家庭機器向けの共通の通信方式づくりに乗り出す。各社のプラットフォームが乗り入れることで、機器メーカーの枠組みを超えて連携しやすくなる。消費者は家電を買う際の選択肢が増え、新たなサービスなども生まれやすくなる。

米IT3社と、無線通信規格の策定を担う業界団体のジグビー・アライアンスが18日、規格づくりを主導する「プロジェクトコネクテッドホーム・オーバーIP」を立ち上げると発表した。2020年後半に技術の仕様を公開する。

アマゾンやグーグルが力を入れる人工知能(AI)スピーカーは、利用者が機器に話しかけるとクラウドを経由し、適切な動きをする仕組みだ。現状は機器間の通信方式が陣営ごとに異なり、グーグルのAIを使うにはグーグルに対応した製品が必要だった。

アマゾンなどAIスピーカー各社はこの仕組みを家電に拡大。家庭内の機器を賢く動かす「スマートホーム」の基礎を固め、アプリを追加することで家電の機能を増やす。通信方式が統一されれば、それぞれのAIスピーカーに対応した機器が互換性を持ち、家庭のIoTが身近になる。例えば、消費者が起床時に音声で照明機器とエアコンをつけるなど、複数メーカーの製品を組み合わせたサービスも受けられる。

米調査会社カナリスによると、18年のAIスピーカーの世界出荷台数は7800万台と17年の2.2倍だった。シェアは「アレクサ」を抱えるアマゾンが31.1%で首位、グーグルが30%と2位だ。「Siri(シリ)」搭載のiPhoneを扱うアップルも加えると利用者はさらに広がる。

通信方式の策定には、スウェーデンの家具大手イケア、照明大手のシグニファイ(オランダ)なども参画する意向を示した。今後は中国国内のAIスピーカーに強いアリババ集団や百度の動きも焦点になる。

家電製品の規格を巡っては日本勢が1970~80年代の家庭用VTRの「VHS対ベータ」で競い、00年代半ばにはソニーパナソニック陣営が「ブルーレイ・ディスク(BD)」を推進するなど主導権を握っていた。今回の統一規格づくりに参加しておらず、業界での地位低下を象徴する。

ただ米IT3社は統一規格づくりに関し、つなぐ際の使用料は無料にするなど各メーカーが参加しやすくする構えだ。英調査会社IHSテクノロジーによると、通信機能を持つIoT機器は21年に447億台と18年比で5割近く増える見通しだ。日本勢はスマートホームに対応した機器に商機を見いだす。

シャープは調理家電や空調、洗濯機など約300機種のつながる家電を展開し、自社クラウドを経由し、アマゾンやグーグルなどのAIスピーカーと操作連携ができる機種も段階的に増やしてきた。規格の統一で個社ごとの設定が不要になり、「対応家電の販売拡大も期待できる」とみる。

東芝ライフスタイルは冷蔵庫やエアコンなどでアマゾンのAIに対応する。「利用者の利便性の向上に貢献できるサービスを検討したい」と、規格統一をにらんだ製品開発を急ぐ。アイリスオーヤマ(仙台市)はアマゾンやグーグルのAI対応の照明機器を製造・販売しており、「日本のスマートホーム市場が拡大する」と歓迎する。

一方、東芝でデジタル戦略を統括する島田太郎執行役常務は「彼らとは喜んで連携する」とコメントした。東芝はIoTを使う次世代サービスを開発する企業連合を20年春に立ち上げる。クラウドを経由しなくても機器をつなげる仕組みを目指しており「米IT大手のプラットフォームを補完できる」(東芝)という。

(広井洋一郎、中村元)

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