英量子ベンチャーが日本に参入 化学や金融にソフト提案、JSRが出資

2019/12/19 18:29
保存
共有
印刷
その他

英ケンブリッジ大学発の量子コンピューター用ソフトのスタートアップ企業ケンブリッジ・クオンタム・コンピューティング(CQC)は19日、日本へ本格参入すると発表した。量子理論を応用したサイバー対策装置や、量子コンピューターを使いやすくするソフトウエア群などを、化学会社や金融機関などに提案する。量子化学などに詳しい人材の獲得も目指す。

英ケンブリッジ・クオンタム・コンピューティングのデニース・ラフナー最高事業責任者

CQCは英ケンブリッジ大学の起業プログラムによって同大フェローであるイリアス・カーン最高経営責任者(CEO)らが2014年に設立した。85人の社員中60人が量子物理学やコンピューターの科学者で占める。

同日、都内で会見したデニース・ラフナー最高事業責任者は「科学者の数は大手IT(情報技術)に引けを取らない」と語った。日本企業では化学大手のJSRが2018年から出資する。日本法人は1月に設立済みだが、20年から国内企業への販売や共同研究を本格化させる。

主に量子コンピューター技術を応用したサイバー対策装置「アイロンブリッジ」と、量子コンピューター向けのプログラミングを支援するソフトウエア群を販売する。

アイロンブリッジは従来型のコンピューターで使われる暗号方式を破るサイバー攻撃への対策を想定した装置。金融機関やクラウド企業などに提案する。暗号化に利用する乱数を生成する仕組みに量子理論を応用し、不正アクセスを困難にしたという。海外では米IBMがクラウドサービスに採用した。

後者のソフト群は、化学分野で新素材を探索する目的に量子コンピューターを使いやすくする。従来型コンピューターで人工知能(AI)などでよく使われるプログラミング言語で記述すると、CQCのソフト群が量子コンピューターが計算できる形式に変換する。

量子コンピューターは従来型のコンピューター用のソフトやプログラミング言語をそのままでは利用できない。化学に応用したくても、量子コンピューターと量子化学の両方の専門知識が必要でハードルが高かった。

ラフナー最高事業責任者は「日本は量子コンピューターに関心のある企業が多い。成長余地が大きく、科学者も優秀な人材が豊富だ」と期待を寄せた。日本を英国、米国に続く第3の主力拠点と位置づけ、営業担当者だけでなく、量子化学などの科学者の採用に力を入れるとした。

販売目標や事業計画は公表しなかった。米グーグルや米IBMといったハードウエア開発元の進捗状況に大きく左右されるためとしている。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]