/

一極集中の是正進まず 地方創生戦略、目標据え置き

政府は19日、今後5年の地方創生の具体策を盛り込んだ「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の改定案を決めた。2014年策定の第1期戦略で20年までに東京圏の人口の出入りを均衡させる目標を掲げたが達成は困難な状況だ。改定する24年度までの新たな戦略では目標を据え置く。人口減少や高齢化といった構造問題は深刻で、地方への支援策に手詰まり感も漂う。

安倍晋三首相は19日のまち・ひと・しごと創生会議で「東京一極集中を是正する大きな目標に向かって取り組みを一層充実させる」と述べた。

第2期戦略は20日に閣議決定する。第1期戦略は15年度以降、新たな施策を加えて毎年改定してきたが、19年度で期限を迎える。抜本的な見直しは今回が初めてだ。

新たな戦略では兼業・副業などで地域と関わる「関係人口」の増加を目指す方針を打ち出した。生活の拠点を都市部に置きつつ、週末だけ地方で農作業するといった継続的に地域と関わる人を指す。地方移住による定住人口や観光客主体の交流人口とは異なる概念として提唱した。

具体策では大都市で働く転職や兼業・副業の希望者と地方企業の橋渡しをする「プロフェッショナル人材戦略拠点」づくりを進める。兼業・副業する人を対象に移動にかかる経費を補助し、市町村に相談窓口の設置も促す。

東京一極集中の是正は進んでいない。第1期戦略には20年までに東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の人口の出入りを均衡させる目標を明記した。だが転入者が転出者を上回る「転入超過」は18年に約13万6千人にのぼった。14年に比べ2万6千人増え、東京圏の人口集中はむしろ進んだ形だ。

政府は14年の第2次安倍改造内閣で地方創生の看板を掲げた。初代の地方創生相に石破茂氏を起用し、前面に打ち出したのが東京一極集中の是正だった。今回の戦略改定に合わせて目標を見直せば「地方創生の旗を降ろすとの誤ったメッセージと取られる恐れがある」と判断し、目標維持を決めた。

第1期戦略では企業の本社機能の地方移転を促すための税制や、地方移住者への最大300万円の補助金給付の制度を設けた。首相が「従来の発想にとらわれない大胆な政策」と指示して作ったが、今のところ効果は限定的との見方は多い。

18年には政令指定都市や県庁所在地を中心とした「中枢中核都市」の支援に着手した。東京への転出が目立つ地方の大都市に若者をとどめ、東京一極集中に歯止めをかける狙いがあった。ただ各市町村への支援を求める全国市長会の反対を受けたため、第2期戦略では具体策はほとんど盛り込まない。

人口減少は日本全体が抱える構造問題といえる。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の人口は15年の1億2709万人から50年後には8808万人に減る。

同研究所の所長を務めた森田朗津田塾大教授は「行政サービスや医療体制を考慮すると、経済が自立的に成り立つ地方の中核都市に人口を集約させる政策が必要だ」と指摘する。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン