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新興国通貨、値動き明暗 アジア上昇、トルコ・南米低迷

【ニューヨーク=後藤達也、イスタンブール=木寺もも子】新興国通貨の明暗がはっきりしてきた。米中が貿易戦争をひとまず休戦したことで世界景気への不安が和らぎ、アジアへのマネー流入が再び活発化する兆しがある半面、経済ファンダメンタルズが弱いトルコや南米の通貨は軟調が続く。通貨安はインフレを招き、金融政策の余地を狭めかねず、トルコなどは悪循環に陥っている。

トルコリラは安値圏が続く=ロイター

米連邦準備理事会(FRB)が現状の低金利を長く続ける姿勢を示したこともあり、世界の投資家はリスク投資を再開し始めた。世界の株価指数は先週以降、史上最高値を更新し、新興国の中でもアジアやメキシコの通貨の上昇が目立つ。

市場では「FRBは来年は利上げも利下げもしない」との見方が増えている。米長期金利は上がりづらい状況になっており、投資家が相対的に高い利回りを求め、新興国に資金を振り向ける。

タイの通貨バーツは年初から対ドルで約7%上昇し、6年ぶりの高値圏で推移する。2018年は通貨安に苦しんだインドネシアルピアやフィリピンペソも19年は年初来で3~4%程度上昇している。各国の経済成長率が底堅いことも通貨高の一因となっている。

トルコや南米は流れに取り残されている。トルコリラは安値圏から抜け出せず、アルゼンチンペソは1ドル=60ペソ近辺で資本規制による通貨防衛が続く。チリやブラジルも昨年末より安いままだ。

南米やトルコは経済の脆弱さが目立つ。競争力の高い輸出品が少なく、経常赤字を抱える。失業率が10%を超える国もある。南米各国では反政府運動が広がるなど政治も不安定だ。トルコはロシア製ミサイルの導入を巡って欧米と対立し、制裁を科されるリスクがある。

世界の運用マネーは潤沢だが、投資家は新興国を冷静に選別している。今年、アルゼンチンが事実上の債務不履行に陥り、通貨や国債が暴落し、大手ヘッジファンドが10億ドル規模の損失を被った。市場では「ヘッジファンドに資金を預ける年金も政治や経済が脆弱な国への投資に極めて慎重になった」との声が多い。

トルコも18年夏に対米関係の悪化をきっかけに通貨が暴落した経緯がある。日本でも大きな損失を被った個人投資家も出た。リスクを覚悟でトルコリラを買いにいく投資家は限られる。

トルコや南米にとって通貨安は打撃だ。輸入物価の上昇に拍車がかかり、対外債務が自国通貨建てで膨らんでしまう。通貨安は経済を一段と弱体化させ、さらなる通貨安を招くリスクがある。

19年は通貨上昇が目立った東南アジア通貨も、20年は騰勢が一服する可能性を指摘する声がある。FRBが利下げを停止する一方で、各国の中央銀行は景気刺激のために利下げも視野に入れているためだ。金利差が縮めば、アジアの新興国に投資する魅力が低下することになる。

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